従兄弟たちが遊んでいるジャングルジムから離れて,
娘が1人でうんてい棒を登ろうとしていた.
でも,ぜんぜん登れない.
あきらめず挑戦を繰り返すが,落っこちてしまう.
いきなり泣き出したかと思うと,鉄の棒を蹴飛ばし,
石を投げ,靴を投げ,罵声を投げ散らす.
同じ年の従兄弟たちは呆然として,
恐る恐る,こっちで遊ぼうよと誘うが,娘は返事もしない.
そのうち,急に登れるようになり,てっぺんまで登って雄たけびをあげる.
降りてきたらぴょんぴょん飛び跳ねて歓喜する.
まったく,空気を読まない.
さすが,ボクの子供だ.
うちの母親は最近,占い師に手相を診てもらって,
「こんなに空気を読まない人の手相は初めてみた」
と言われたらしい.
手相にも出るんだねと感心していたが,
今は空気を読む自主練習をしていると話す.
イメージトレーニングが主な練習メニューらしいが,
その成果はいまだに見えてこない.
うちの嫁が,「うちらは空気を読めない夫婦だね」と言うもんだから,
ぜんぜん違うよと否定しておいた.
君はひどくマイペースなだけ.
それは人に怒られて少しずつ変わっていくもの.
ボクは空気を速読できる.この能力だけど世渡りしてきた,とさえ真面目に思う.
でも,言いにくい雰囲気の中でも,言わないといけないから,
空気を読めないと人に言われるような発言をするわけだ.
空気を読んで,あえて音読する.
それは,必要性に対する認識の違いだろうと思う.
その瞬間,「間違っていますよ」と言わなければ波風は立たないが,
クライエントがほんとうは望んでいない方向に支援が進んでいくかもしれない.
という,危機感に気づく力と,自分の危機感から逃げない気持ち.
クライエントは,患者さんや利用者さん,その家族,学生さん,後輩,チームメイト.
もちろん,すべての空気に対していつも読みあげているわけではない.
言えなくて後悔している思い出はたくさんあるが,
ちゃんと思い出してしっかり後悔することにしている.
罪悪感は拭い去りたいものなので,
うっかりと読みたくない空気に包まれた時に役立つ.
がんばらないといかんよね,って.
どす黒くて,抱えきれないほど重くて,まともに向き合えない臭い空気だって,
身体に傷をつけることはない.もっと言えば,死ぬことはない.
誰かが傷つくことから守れるなら,空気を音読しないとね.
まあ,ほんとは素直になればいいだけの話なんだけどね.
見えない壁なんて,見なければいいわけさ.
恐れながら進め,おれ
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