九州で働く卒業生から、たびたび相談がある。
急性期病院が併設する通所リハで、初のOTとして勤めることになった彼女。
先日、上司であるベテランPTと感情的な口論になったらしい。
彼女は上肢の機能訓練と集団手工芸を期待されているという。
しかし、これがほんとうに自分が期待していたOTなのかと悩んでいた。
ついに先日、数名の男性利用者から庭の掃除がしたい、園芸がしたかった、
という話を引き出せたという。
そこで、作業療法の目標を利用者が望んだことに決めて、
一緒に方法も考えたそうだった。
すると、
「せっかく歩けるようになった人を、なぜ地面に座らせるんだ」と
上司に怒られたそうだ。
勝ち気な彼女は、利用者が望んだことをやって何が悪いんだと強く反論したらしい。
「じゃあ、利用者が船に乗って釣りがしたいと言ったらどうするんだ!」と切り返され、
そういう希望があったらできる方法を考えたいですね、と答えたそうだ。
すると、「そんなバカな、そういうことじゃないんだ」と怒られたらしい。
ボクは答えた。
君の考えが正しいかどうかは問題ではない。個人的には好きだけどね。
理論武装をして論理的なプレゼン内容を組み立て、巧みな交渉技術を使えば、
上司の意見を徹底的に叩きのめすことは不可能ではない。
でもさ、それで何が得られる?
君がやるべきことは、先を見ること。
上司はこれまで積み重ねた利用者と体験した喜びが、
仕事の誇りと自信に形成している。
それが例え君の好みではなかったとしても、否定してはいけないし、否定できない。
上司の考え方や価値観を変えようと思うな。変えきれると思うなよ。
でも、上司だって利用者と感動したいと思っているはず。達成感を共感したいはず。
もし園芸を望む利用者を支援したいのであれば、
その情報を逐一報告、相談するんだよ。
その上で、自宅で園芸をやろうとして転びそうになったらしいので、
下肢筋力増強訓練とバランス訓練の導入を検討してほしいですって
お願いするわけさ。
つまり、上司が求めている感動を、上司がわかりやすい形で届けるってこと。
利用者のために支援したいと思わないセラピストはいないよ。
セラピストだけじゃないよ、介護士も看護師もみんなそう思っているんだよ。
同じ状態を見て、同じ目標を目指しているのに、ちょっと切り口が違うだけさ。
おかげで庭掃除ができましたって利用者に言われたら、
ぜったいに上司は嬉しいはずよ。
そういう状況になるのは、今すぐにはムリ。
だって、年月をかけて築かれたものだから。
周囲が期待している自分の役割と、自分が期待している自分の役割のギャップ。
そうとうに苦しいけど、考えてみて。
役割のギャップがない組織。あり得ないし、あったとしても、それはそれで危ない。
自分やチームのことを深く考えなくても済むから、一生前進しないよ。こわいだろ。
そう考えたらさ、今の状況ってチャンスじゃないか。成長するためのチャンス。
クライエントと自分と上司の全員が満足できる目標を考えて、
シェアする方法については少しだけ工夫を考える。
そのために誕生したとして言っても過言ではない評価法があるよ。
ADOC'newPV2→http://youtu.be/LrVvO3sky5Y?hd=1
なっ。
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