2010/12/26

目標と支援計画設定の透明化 Goal setting and support the transparency of planning

回復期リハ病棟に勤めていた頃。
担当クライエントの希望をCOPMなどを使って引き出していた。
しかし、その情報をカンファレンスで提供しても、
なかなかリハ実施計画書に反映することが難しいなあと思っていた。




あ、そうなんだ〜、それ知っていたよ、それよりまず歩行とADL向上・・・
情報はそれぞれ持ってはいるけど、持っているだけ。
2年目に、カンファレンスに本人、家族を同席するシステムを提案した。

予後予測など伏せておいた方がいい情報もある、
カンファレンスはチームで実施計画を立案する場である、
報告という形であれば担当看護師が直接手渡しているから必要なし、
説明は医師、相談はケースワーカーの仕事・・・

ボクはOT4〜5年目、身障OT2年目で、他のセラピスト、看護師、医師は
急性期病院での臨床経験が10〜20年目のベテランだった。
それでも、ぜったいに譲れないと思っていた。
初回カンファレンスと退院前カンファランスは必須、
その他は必要に応じて参加してもらうという形にボクも妥協した。

脳のココの部分が損傷されています、現在の薬は○○です、
病棟廊下歩行は少し手伝えば20m可能です、日中のトイレはほぼ自立になりました、
介護保険の申請を来月から行いましょう、手すりもつけれますからね・・・

あ〜そうですか、はいはい、ありがとうございます、よろしくお願いします・・・

「そういえば、○○さんは退院したら園芸がしたいんですよね、
日中は奥さんが付き添えるんでしたっけ。畑まで歩けるか心配しているんですよね。
畑までは車いすで移動することは譲れても、畑では立って野菜を眺めたいんですよね。
それと夜間のトイレは自分でポータブルトイレを使えるか気にしているんですよね」

「え〜と、担当医としてはどれくらい手足の麻痺は回復すると予測していますか。
それから担当PTは最終的に具体的にどれくらいの介助量で歩行できると思いますか。
それと、奥さんに歩行の介助方法を教えてもらってよろしいでしょうか。
看護師は夜間のトイレで危ないなと思ったことはありましたか」

「それじゃあ、この空けておいたリハ実施計画書の目標と本人の希望部分を
今ここで書き込んで、来月のカンファレンスで達成度を一緒に確認しましょう。
予定より目標が早く達成したり、達成していなかったら、
最終的な目標を見直しましょう。機能回復の状況も一緒に確認しますね」

「○○さん、あなたがどこで誰とどのように生活するかを話してくれたら、
私たちは全員でそれができるようになる方法を考えます。
あなたの生活のことなので、次回もカンファレンスでに参加してください」



一部チームメイトからの抵抗は激しく、導入して1年後も続いていたが、
クライエントが意志を、時には泣きながら、チームに向かって発言する機会は
ほとんどのチームメイトが新鮮だったからという理由以上に大切にしたと思う。

疾患名、障害、症状、生活状況だけを切り取ってリハ目標を設定しないこと。
記録に残した文書だけではなく、発言内容にも反映されていること。
簡単に数値化できない目標ではあったが、
知識や技術よりも大切なことだと思っていた。

情報をたくさん持った専門家が集まって練り上げたリハ実施計画書を手渡して、
それでいいですよ、とクライエントや家族が言ったからといえども、
クライエント中心の支援だとは限らない。

目標、支援計画を設定するプロセスも共有するべきじゃないかな。
情報が多いと混乱するという理由でクライエントと家族を排他せずに、
もっと透明化した方がいいんじゃないかなあ。
クライエントのためではあるが、それがチームのメッリットにもなると思う。

ADOC開発の理由
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