2011/02/01

サッカーと作業療法 Football and occupational therapy

たとえば、サッカーで考えてみる。

100mダッシュは大切ですよ。
パス練習も、シュート練習も、ドリブル練習も必要ですよ。
そして、試合形式の練習も必要。
どちらが優れているか、で議論する人はいない。




でも。パスのためのパス練習をしているんじゃなくて、
試合で適切なタイミングにふさわしい力加減でパスをするために、
パスの練習をしているはずだと思う。
パスをするスポーツではなく、サッカーでプレーする上で必要な技術の練習。

目標が試合にあるのであれば、試合形式の練習も必要不可欠。
思い通りにボールを扱う練習だけで試合に臨むのは、心細い。
状況に最もふさわしいプレーを判断するためには、
状況判断を求められる経験を積むことが必要。素人のボクでも理解できる。


近位上肢の支持性(安定性)を高める、重心を無意識にコントロールする、
着替えが1人でできるようになる、歩容の非対称性が軽減する。
大切ですよ。でも、そのために生活している人はいないはず。
それはパスやシュート、ドリブルなどの技術じゃないかな。

基礎トレーニングをみっちり、あとは根性でどうにかするって考え方は、
合理的ではないことくらい誰でも想像できる。
フォワードにはフォワードの,ディフェンス,ミッドフィルダーにはそれぞれの,
同じフォワードでもカウンタータイプかドリブルタイプの違いによってメニューは変わるはず.




何が言いたいかっていうと、
基礎トレーニングは効果が望める時期だけにして,練習試合もしようってこと。
その練習メニューはどこで,だれと,どんな試合をしたいかによって違うはず。
クライエントと「何かすること」についての目標を一緒に考えてほしいってこと。

もし自分がサッカー選手だったとして,
ドリブルのためのドリブル練習を監督やコーチにやらされて,
いつか役立つ時がくるって言われても毎日そればっかりじゃ納得できないはず。
いつ完璧になるんですかって,聞きたくても聞けない立場に追い込まれたくない。


ADOC(作業選択意思決定支援ソフト)


作業療法士は運動療法士ではないのだから,
運動療法をパス練習と同じように頑張ってやるのは必要だと思うんだけど,
その運動機能は、どこで、誰と、どんな生活を送るために必要なのか知ってほしい。
その生活が具体的に見えたら,実現のために必要なことだけを目指してほしい。

だって,ゴールキーパーかもしれないんだから.

2 件のコメント:

  1. uezuさん。お久しぶりです。
    先日は、認知症関連の相談にのって頂き、本当に感謝しております。少しずつ前進していけるように頑張りますね。
    この日記最高です!
    僕達OTは、作業ができるであろう”能力”に到達することを目標にするのではなく、意味ある作業を遂行して、自己を肯定的に循環していける”状態”を目標とします。そのためには、クライエント自身が、自己の意味ある作業の可能化の為に選択した、”作業ができるようになるための取り組 み”と、”意味ある作業をすること”両方の介入が不可欠ですよね。この日記を読んで改めてそれを実感しました。いつも作業療法のアイデンティティを有難うございます。

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  2. 侍OTさん,ごぶさたです.ありがとうございます.
    認知症関連の件については,具体的な提案ができず申し訳なかったです.これからも情報を集めていきますね.
    「意味ある作業」って人によって解釈のレベルが違うなあと思うことがあります.机拭き(ワイピング)という意味があり,それが家事役割につながりますって主張する場合もあるけど,それは本人にとってやりたいことかなと疑問に思うことがあります.おっしゃるように,価値を感じている「何かすること」が自分らしさを再発見したり,再構築するんじゃないかなと思います.その目標が見えたら,「できるようにする」ために機能訓練は絶対に必要だと思います.こちらこそ,改めて考える機会をありがとうございます.いつも感謝.

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