2012/05/07

OT目標設定の過程において大事なこと


作業療法の目標設定における情報の質と量は、
理論への理解度をしのいで上回る価値がある。と思う。
tomoriくんちびっこOTさんのブログがおもしろかったので、

通所利用者にADOCを使って目標を設定した時の話を、シェア。




「なるほど。移乗、トイレ、園芸、旅行を目標にしたいのですね。
ん〜、移乗とトイレは完全にひとりで、
転倒の危険なく安全にできるようになるのが希望ですね。
家族が不在の時間帯にパットを使用するのが耐え難く、
家族への負担も軽減したいと思っているのですね」


「それを実現するのは難しいとボクは判断していますが、
そのためのプランを立案して3ヶ月後に再評価しましょう。
実現できる可能性があるなら継続しますが、
難しいと改めて判断した場合は目標を修正しましょう。
たとえば、パットを1人で交換できるようになる、とか」


「マッサージは今後、マッサージ師だけに依頼します。
ボクとは移乗の練習を中心に取り組みますが、
あなたが自分で可能な部分がわかったら、
必要以上に介護しない方法を介護士全員と共有します。
そうすれば、通所内での日常的な行為がリハビリになります」

「旅行についてですが、
どこに、だれと、どんな旅行をしていましたか。
そして、今はそれをどのように行いたいと思いますか。

妥協できないこと、妥協できることは、何ですか。
その思い描く旅行は、実現可能とあなたは思いますか」


「なるほど、県内旅行ですね。
家族を連れてホテルに泊まることが毎年の家族行事で、
あなたにとって大切な家族の思い出を象徴していることなんですね」


「県内旅行にボクが同行することは可能ですが、
でも、それではボクがいないと旅行にいけないことになります。
あなたが家族や旅行に参加させたい友人、知人と参加できれば、
準備と機会がうまく揃った時に、いつでも旅行にいけますね。
あるいは、行けると自信を持って感じるかもしれません」


「旅行に賛成してくれそうな家族や友人、知人はいますか。
実際に旅行をする時に協力をしてくれそうな人もいますか。
危険があると心配しそうな人はいますか。
心配する人を説得するためのアイデアは持っていますか」


「あなたの目標ですから、あなたも一緒に考えて欲しいです。
協力を要請する方法や解消する方法についてのアイデアは、
私はあなたよりは知っているので協力できることもあります。

でも、あなたの目標に関係する人の考え方とできること、
必要な建物と物、あるいは支障になりそう人や環境を、
あなたほどは私は知らないからです」


「さて、次は同じように園芸についての話をしましょう」


ADOC


今回の思考過程は、どの理論でも説明できる。
でも、どの理論でも情報量と質が低いと、セラピストの解釈に偏る。
不足分を教科書から補おうとするほど、クライエントから離れる。
作業療法士が何を選択するべきかは、クライエントが教えてくれる。

支援をするのは機能、動作、行為のどれでもいい、誰とでもいい。
大事なことは、何をするかよりも、なぜするのかということ。

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