2013/01/19

通所介護のOT初回面接

tomoriくんADOCを開発している時,ボクには必要ないと思っていた.
でも,作業をやってみるまでは何が必要かわからない,
ということを去年から日常的に再確認し続けている.

先日のこと.初めてデイサービスを利用する方に,
リハビリテーションの目標と目的を一緒に決めたいと説明して,
同意を得ることができた.


「病院では男の人が腰から下,
女の人が腰から上を一生懸命に揉んでくれたよ.
1日40分ずつくらい,2ヶ月間ほぼ毎日」

「首と手がシビれて痛むし,上手く動かせないの.
2ヶ月でだいぶ良くなったわ.
だから,ここでも同じようにやって欲しい」

「ここね,転んだ時に痛めた.その時はね・・・.
病院では横になって,腕をこう動かしてね・・・.
家では自分で腕を動かす練習をこうやって・・・」






30分ほど経過した後に,
それでは腕が動かせるようになったら,
できるようになりたいことや,困っていること,
期待されていること,もっと上手くやりたいことは何ですか,と尋ねた.

「・・・いろいろあるんだろうけど,
そのためにも首と腕を揉んで欲しい」

昼食時間になったので,
続きは翌々日にすることにした.
その日が訪れて,ADOCを使って面接をした.

「そうね,低いベッドから起き上がる時に困るね.
首が痛むのよ.それから腕もね.
だから病院では横になって腕をこうやって・・・」

30分が経過した後,やりたい趣味を選択する場面になった.
園芸のイラストを見た彼女は,ハッと声をあげて表情を変えた.
しばらくして,静かにゆっくり,はっきりとした口調で語り始めた.



「庭の花木を育てることは,私の大切な趣味であり,仕事でもあったよ.
花と季節によって土と水を考えなければいけないし,
寒さや風から花木を守るために,自分で大工をして箱も作った」

「80歳を過ぎるまで,ずっと花の世話を大事にしてきた.
でも転んでしまってからは,孫たちが危ないと心配をする.
世話になっている孫に迷惑はかけれないから,今はやっていないのね」

「でも,ほんとうに私は,花を育てることが楽しみだったし,
好きだった.今になって思えば,それが生きがいだっと思う.
いつかはまたやりたいとは思うけど,それは言えないと思っていた」






他の職員とも協力して,痛みが少なくなるように治療的な支援をします.
腕がもっと動かせる可能性があるなら,最大限の手伝いをしたいです.
でも,私たちにできるのはわずかな時間であり,ごく一部のことです.

あなたが,自分の意思で自分の身体と心と頭を動かす生活が,
習慣化されるようになったら,それもリハビリテーションです.
花を育てることが生きがいだったなら,取り戻すことがリハビリです.

完璧に動きを取り戻すことや,継続して痛みを取り除くことは難しくても,
あなたが自分で自分の生きがいを取り戻すことは,可能だと思います.
そしてあなたの家族も,期待しているのではないかと思います.



花木を育てるために,どう工夫すれば腕を使うことができるのか,
安全に楽にできるだけ1人で,好きな時間に好きなやり方で,
花を育てることができる方法を,あなたと一緒に考えます.

家族の方と話し合う機会と,実際に庭で花木を育む場面を観察する機会を,
職員に相談して設けてもらいます.
その時に新たな課題や目標が見つかれば,その時に修正しましょう.

あなたが30分以上も楽しそうに語ってくれた,
花を育てる生きがいができるように,
わたしたち職員全員で手伝いたいと思っています.

私は,作業療法士といいます.

2 件のコメント:

  1. はじめまして、兵庫県神戸市の東川と申します。私はADOCをはじめたばかりです。先生のブログから学ばせていただいてます。
    単純な質問で恐縮ですが、高齢者対応ではiPadminiは一覧表示が見にくいと言うことはありませんか?iPad2にしようかと考えておりますが。

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  2. 東川さま,コメントありがとうございます.
    質問にお答えします.
    一覧表示はiPadと比較するとminiは見えにくいかもしれません.
    しかし,イラストを拡大することで十分に対策は可能でした.
    ADOC以外にどのように使うかによって,
    どちらが良いのか決まるかもしれません.

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