と声をかけて頂きました。
あぎじゃびよぉ・・・えぇ、私です。
とりあえず歩行訓練をちゃんとしてください、と
スタッフに指示されました。
それは何故ですか、と私は尋ねました。
入居者が希望しているから、と返ってきました。
あなた達が私に期待していることは何でしょうか、と
本人と家族に尋ねました。
歩行訓練をして欲しい、と返ってきました。
完全に1人で、転倒の危険なく安全に、昼夜を問わずにいつでも、
歩けるようになる事は難しいと私(OT)は考えています。
車いすで移動する方が安全で楽で確実だと思いますし、
そうやって車いすで移動しても、できるようになりたいことは、
できるかもしれないと私は思っています。
さて、できるようになりたいことは何でしょうか。
特にないから、とにかく歩く練習をして欲しい、と返ってきました。
私は、例の評価ツールを使うことにしました。
私はiPadを彼女に向けて画面を見せながら、
ここに描かれた何かすることが描かれたイラストの中で、
あなたがやりたいこと、できるようになりたいこと、うまくやりたいこと、
期待されていることがあれば教えてください、と伝えました。
数日後、特養ホームの初回カンファレンスに本人と家族が同席しました。
他に介護士、ケアマネージャー、相談員、看護師、栄養士が参加しました。
彼女が歩行訓練を強く希望していることは、参加者全員が知っていました。
私はまず、全員がいる前で彼女と家族の要望を確認しました。
何もやることがない、とにかく歩行訓練がしたい、と彼女は伝えました。
私は例の評価ツールから印刷した紙を取り出して、
参加者全員が見えるように机の上に置きました。
ADOC |
あなたは、歩けるようになりたい、トイレができるようになりたい、
車いすの乗り移りができるようになりたい、と教えてくれました。
自宅ではとても難しかったのに、今は少しできるようになっています。
これはリハビリを頑張ったからというよりも、
介護士があなたの能力を最大限に生かした生活支援をしているからです。
オムツは使わずにトイレに誘導してくれるので、
1日に何度も起きて、乗り移って、立ち上がって、立つことを保ち、
ということを繰り返してきたからです。
この生活を続けることが、あなたの望みを叶える手助けになるでしょう。
歩行訓練よりも効果的で、効率的な身体の訓練になっています。
それでも平行棒歩行や歩行器歩行を強く望むなら、提供します。
でも目標は、はっきりさせましょう。
歩くことは目標ではなく、手段です。
あなたは、ランの花を育てることが大切だと教えてくれました。
工夫と練習をすることによって、それはあなたにできることだと思います。
ご家族が自宅にあるランの植木を持ってくるというのはどうでしょうか。
その植木をあなたが自分の責任で、自分の身体と経験を使って育ててください。
ランの植木を育てることは、あなたにとって趣味であり、
今のあなたと自宅にいた頃のあなたを結びつけることであり、
身体と頭と心をあなたが思うように使うことを、手助けすると思います。
そしてあなたはもうひとつ、できるようになりたいことを選びました。
家族とのつながり、結びつきです。
家族と一緒に育てることもいいと思います。
花が咲いた時に、離れて暮らす手渡したい家族に贈るのもいいと思います。
それは花を育てながら、あなたが自分で考えて決めてください。
あなたが選んだ選択が、あなたにとって一番いい選択だと思います。
歩行訓練はその目標を実現すること、継続するための手段として、
これからも続けていきましょう。
車いすに乗ったり、移動したり、遠くに手を伸ばすために必要な、
身体の能力を維持させる働きがあるかもしれません。
植木を置く場所や、水をあげる道具、水を入れる場所、
それに伴う移動については、介護士や家族の方と相談して決めましょうよ。
最終的には、ランの花に水をあげるなどの世話を1人で、
やりたいと思う時に、やりたいと思うような方法で、
できるようにしましょう。一緒に、できる方法を考えましょう。
ランの花を育てることに関してはあなたが詳しいので、一緒に考えましょう。
届きました。 |
ここは確かに施設ですが、
あなたが暮らしてきた自宅と同じような場所だと思ってください。
やり方は違っても、あなたがやりたいと思うことができる場所です。
自宅と同じようものだと思って、思い描くように暮らしてください。
今ここにいる全員が、それを望んでいます。
それがあなたのリ・ハビリテーションです。
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