夜遅くベッドで暴れる4歳の息子を叱ったら、反論してきた。
「もう1人のボクが暴れたがっているんだよ。
そいつはあのぬいぐるみの中にいて、
ボクは悪くない。あいつが悪いんだ」
人から問題を外在化して切り離し、
問題の正体を探ろうというのだな。
ナラティブアプローチにおけるスニーキー・プーだ。
ナラティブアプローチは作業療法だけではなく、
医療福祉保健の領域でもよく使われているが、
傾聴するという意味に曲解されていることが多いように思う。
ナラティブアプローチで最も大切なことは、
問題を外在化した後のプロセスにあるハズ。
肯定的な記憶の呼び起こし。
問題から自分へと主導権を奪い返した物語の書き直し。
精神疾患や認知症など病と長期的な付き合いが必要な場合に
有効な支援だと言われているが、もっと応用が利くとボクは思う。
運動麻痺が残存して悲観している時のライエント、
今後の生活において症状が進行することに不安を抱くクライエント、
過度に厳しい自己評価によって自信を失った時の学生、
あるいは、彼らに関わる支援者や自分自身。
彼らのようなクライエント、支援者あるいは自分と向き合う時に、
スニーキー・プーのストーリーを思い出すことがある。
その問題は、その人のすべてではない。
次に、本人と周囲にどんな悪影響を与えているか、考えてみる。
しかし、ほとんどの場合は努力しないと想起できない。
想起が難しいということは、問題が軽いという意味には直結しない。
その場合、人と問題を切り離せない状態になっているかもしれない。
問題を切り離して考えた上で、
問題があってもできたことは何だったかと記憶の棚を少しずつ探る。
それから、問題の陰に埋もれていた希望について、
時間と場所をどのように占めていたのか思い出すことを求める。
あるいは、どのように占めて欲しいのかと希望の整理を求める。
そうして初めて
病によるドミナント・ストーリー(支配的な物語)から、
人によるオルタナティブ・ストーリー(選択的な物語)へ。
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