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2012/04/21

ADOC'Movieの楽屋


ONE PIECEの作者が1年くらいまえに、
今は富士山でいえば2合目あたり、と話したらしい。
8合目が見えているから言えるんだろうなぁ。







tomoriくんが舞台裏を書いてくれたので、舞台楽屋について。
ADOC'Movie-10年おでん」は、完成までに6ヶ月を費やした。
6ヶ月必要だったのは、3つの理由がありました。


1つめ、tomoriくんとボクの納得
2つめ、素材となる画像の撮影
3つめ、本人と家族の了承


1つめが最も厳しく大きな課題でしたね。笑
一言一句、1秒、1オクターブにまでこだわり、
画像の選択とコントラスト、明度も徹底しました。


何を伝えたいか、なぜ伝えたいのか、
視聴した人がどんな行動を起こすことを期待するか、
繰り返しSkypeで話し合いました。


2つめの課題だった素材の選択は、
目的と目標が深まるたびに何度も撮り直した。
メッセージがより真っ直ぐに伝わる方法を探しました。


動画を公開するにあたって、
本人はもちろんのこと、家族の同意も必要でした。
互いの都合が合わず、これで3ヶ月が経過しました。


ようやく娘さんと会えた時、
本人、ケアマネにも同席してもらいました。
なぜ、この動画を公開するのか説明をしました。








おでん作りを施設内で実現できた時、
娘さんがブログに掲載した記事を読んで、
いい支援だったんだなぁ、とあらためて感じたんです。

それで、経過を整理して研修会などで報告したところ、
作業療法士からの反響がとても高かったんですよ。
セラピスト以外の専門職や一般人からの反応も良かったんです。

動画を公開することで、2人にメリットはないかもしれません。
でも、たくさんの支援者が一歩を踏み出す勇気と、
新しい支援方法を考えるきっかけを受け取るかもしれません。



もし動画を視聴して一歩を踏み出す人がいたら、
その人に関わる患者さんや利用者さんは、
今よりもいくらかハッピーになるかもしれません。
利用者がハッピーになれば、支援者もハッピーになれます。

ハッピーになれたら、次もやってみようと思えるハズです。
新しい一歩を阻むリスクや不安が消えたわけじゃないのに、
そういう支援がどんどん拡がっていくと思うんです。

そういう支援が当たり前の社会になって、
理想論じゃなくて実現できるんだと個々人が思うようになれば、
次の一歩はずっと楽に踏み出せる空気になると思ってます。





今、生活していることの歴史や背景に知り、これからを支援したい。
職員全員がそう思ってますし、日本中の職場に同じ思いがあるんです。
でも、うまくできないんです。それが変わるかもしれません。


次は沖縄そばを作りたいと本人さんが話していますが、
実現するためにも、そんな空気が役立つと思うんですよ。
メリットはないと言いましたが、その意味であるかもしれません。


動画の使用目的と方法について記載された文書を読んで、
公開する意義とメリットがあるのか、十分に検討してください。
納得した場合に限って、2人の同意を頂きたいのです。









どうやって説明しようかと、いろいろ悩んでいました。
最終的に決めたことは、すべてをシンプルに伝えることでした。
誰の、何のための、選択かと、考えたことをありのままに。

あの道を通ったから、今ここにいる。これから向かうところがある。

自分と組織、社会は「何かすること」で過去、現在、未来に結びついている。
結びつきをよく見ようとすれば、何をするべきかわかる気がする。



ADOCプロジェクトは今、
富士山でいえば3合目あたり。
頂きはずっと上にあるけれど、はっきり見えています。

2012/04/14

ADOC'Movie (10年おでん)

若手OTがはじめて、
ADOC(作業選択意思決定支援ソフト)を使った時の物語






現在の彼女が挑戦を決めた「おでんを作ること」は、
80年以上の生活史から選択した特定の役割を象徴していた。

彼女にとって、関心のある料理に参加できたというよりも、
生産者、母親を象徴する作業に参加する価値があったと思う。

ADOCを通してクライエントは、支援者の知識、経験、価値観に関係なく、
何を支援するべきか、どのように支援すればいいのか教えてくれる。

2012/04/12

新しいiPadでADOC -New iPad at ADOC-

ちょっと用事があると言ってカミさんを車に残して、
コジマ電機で衝動的に新しいiPadを購入して持ち帰りました。
これを2012年4月11日事件と呼ぶことにします。


ADOCの動作に影響がないか、個人ユーザーとしてレポートします。
現在、動作状態をエンジニアなど専門チームが検証中ですので、
あくまでもADOCを活用している個人のレポートして参考にされてください。




ADOCは無事にインストールできました。
初期設定で初代iPadに同期したのでADOCは入っていましたが、
今回は検証のために削除して、再インスールをしました。↓




ADOC管理者設定およびユーザー設定できました。↓




作業選択の画面は正常に表示されました。↓




前回のバージョンアップで追加した機能、
イラスト拡大に伴って文字も拡大しました。↓




作業、活動を追加する機能も正常に動き、表示も問題ありませんでした。↓




途中保存機能、途中保存リスト呼出機能も正常に働きました。↓




クライエントが選択した作業の重要度も採点できました。↓




クライエント、OTなど支援者が選択した作業の一覧も表示できました。↓




クライエントと作業療法士など支援者が、
共に話し合いながら支援の優先順位を決定することができました。↓




選択した作業の満足度を、クライエントが採点することができました。↓




選択した作業のエピソードや支援計画を入力することができました。
新しいiPadは音声入力の機能があります。
やや誤変換はありますが、ゼロから入力する手間に比べれば修正は楽でした。


ボクはApple純正のWireless Keyboardを愛用していますが、
持ち歩くのも保管場所まで移動するのも億劫だと思っていました。
これなら気楽に、その場で、すぐに支援計画を入力できると思いました。↓




入力した後、画面右下にある「PDFを作成」をタップすると、
PDFで保存できたことが確認できました。↓




iPadをMac(PC)に接続して、AppタグからADOCアプリを選択すると、
内蔵されたPDF資料を確認できました。↓




ドラッグ&ドロップで、PDFをMac(PC)に移動することができました。↓




PDF資料を確認できました。
これでPCやMacに接続したプリンタから印刷できます。↓





ちなみに、iOS5.1で、new iPad 32G、Wifiモデルで、
20Gメモリを使用した状態で使いました。(空きメモリ10G)
ADOCをメインで使うなら、使用メモリは5G以下になると思われます。↓





繰り返しますが、これは限られた条件での簡単な検証結果です。
現在、動作状態をエンジニアなど専門チームが検証中ですので、
くれぐれも、個人的なADOC使用レポートして参考にされてください。



補足。
初代iPadと比較すると、
文字と写真がきれい、動作がスムーズ、カメラ機能がある!


iPad2を持っていないので比較できませんが、
「いいんだよ、おまえを誰かと比較するつもりなんてないぜ、
おまえの1つ1つとすべてに夢中なんだよ」と囁いて抱きしめています。

2012/04/09

10年そば

続・10年おでんは、10年そば。
彼女の娘ふたり、孫ふたりも物語に参加。

ADOCで料理を希望した特養ホーム入居者らと、
家族との面談によって料理をする役割を大事にしていたと
思われる入居者らに、参加の意思を確認しました。
今回は料理をする入居者の家族にも参加してもらいました。







はじめに、作業療法士として2分だけ挨拶をしました。

「これは集団調理の行事では、ありません。
入居者のみなさんが、今でもやりたいと思うことを
一緒に確認し、実現に向けて共に取り組んだ結果です」

「身体は昔のようには動かないけれど、
少し手伝ってもらえば、まだ自分にできることはある、と
みなさんが判断したことです。私たちはそれを支援します」

「今日はご家族のみなさんにも参加してもらいました。
なぜなら、それが入居されているみなさんの希望だからです。
料理を作る意味は、家族に食べてもらうことにあるそうです」

「私たちは入居されている方々に料理について話を聴きましたが、
今、料理を作りたい理由はひとりひとり全く違いました。
でも、家族に食べさせたいという想いは、同じでした」

「ここは施設ですが、みなさんの自宅だと思ってもらいたいです。
今回は施設の行事ではなく、家の行事だと思ってください。
それが私たち職員全員の願いです。それが希望です」






介護職員は忙しい業務の中で、各フロアから交代で支援し続けました。
事務職員は本来の業務ではないにも関わらず、ずっと付き添いました。
栄養士は入所、通所を利用する130人分の栄養管理に対応しながら、
必要に応じて料理方法などについて助言しました。
相談員はほとんど総動員で、料理の各行程に寄り添って支援しました。

那覇市民相談員は休日を取って、最初から最後まで手伝ってくれました。
県介護保険広域連合職員は業務の間に、何度も足を運んでくれました。
作業療法士の同僚は、生後3ヶ月の子供を抱きながら料理を手伝いました。







入居者の家族は、それぞれ母親の顔を眺めながらネギを押さえ、
母親の手を取りながらポークに包丁を入れ、
母親の腕を支えながら大鍋のそば汁をかき混ぜ、
母親の話を聴きながらおにぎりを握っていました。

共に暮らしていた頃とは違う、料理を作る方法だったかもしれません。
でも、母親が料理を作るのに手助けが必要だったことを、
娘さんたちは嘆き悲しんでいないと感じ取りました。

重度の認知症で落ち着きがなくて転倒を繰り返す入居者は、
黙々と3時間も料理に熱中し、包丁を扱う手は丁寧で正確でした。
娘さんは彼女の手の動きを観察して、涙ぐんだのではないと思いました。


彼女たちが自分の意思で選択した作業には、個性的な物語がありました。
意思決定が難しい入居者には、家族が意思決定の支援をしました。
あるいは、家族の意思決定を相談員、介護士がOTに伝えました。



娘さんたちが受け止めて握りしめていたのは、
手や腕ではなく、
母親の想い出だったかもしれません。


職員が支えて離さなかったのは、
包丁やポークではなく、
入居者の希望だったかもしれません。



この作業に関係した人たちの手と心を動かしたのは、
ADOCに表示された活動の特性や効果ではなく、
入居者それぞれの個性的な物語でした。

ADOCインタビュー

ADOCのイラストは、扉だと思っています。
大切なことはイラストを選ぶことよりも、
イラストの向こう側にある物語を共有することです。


と、侍OTさんのブログに書いてありました笑
tomoriくん、侍OTさんとSkypeで話して、イイ言葉だなぁと共感しました。

ADOCインタビューの様子を撮影しました。
ADOCの旧HPトップページ(リンク)の中段にアップしました。

ADOCで面接をすることについて、
機械を使っているから人間味がない、
というイメージ。

携帯電話やPCメールと同じで、
あるいは、Twitter、mixi、Facebookと同じように、
機械を使う前よりもコミュニケーションの幅が広がったと、
個人的には感じました。


意思決定ができない認知症高齢者には使えない、
判断力の高いクライエントにしか対応できない、
というイメージ。

COPMやOSA-Ⅱと同じことですが、
まったく意思決定ができなければ家族がクライエントで、
多少は話のつじつまが合わないクライエントでも、
自分のやりたいことは表現することが可能でした。






作業療法士がクライエント、家族、チームと何をするべきかは、
物語を共有することで必然的に決まりました。
クライエントは自分にとって必要な作業を掘り起こすことができました。