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2019/09/23

好きな人が他の人を好きになったら


好きな人が他の人を好きなったら,どうしたらいいんでしょうか?
相談を受けたわけではないけど,勝手に考えてみます.

結論から述べます.あきらめてください.
感情はコントロールできません.
たとえば,ハイボールが好きな人,サッカーでも映画鑑賞でも散歩でもいいのですが,
嫌いになれと人に言われても無理です.
ハイボールの代わりにタピオカミルクティーを好きにさせることはできません.

君が好きな人を嫌いになることはできない.
君が嫌いな人を好きになることもできない.
自分でコントロールできないのだから,
他人がどうにかできるわけがありません.
君にできることは2つもあります.
ドアを開いて君が部屋を去るか,
ドアを開いて相手を部屋から出すか.

ストーカーはエネルギー対効果が低いです.
愛してると100回言えば101回目に結ばれる,わけがありません.
もったいないという考えも捨てましょう.
費やした時間,お金,経験は惜しいです.
でも君が40代なら残りの40年,30代なら50年,20代なら60年,
そっちに投資した方が楽しいです.きっと未来も開きます.

君が好きになった人の世界に君はいません.
君の世界には君がいる.だから好きなものを飲んで,映画を観て,散歩しましょう.
自分を無理にコントロールしないでください,泣きたい時は泣いてください.
ドアを開いて,外に出ましょう.理由と目的はなくてもいいのです..
好きなタイミングでスローインしてください.

こういった相談を受けたことはありません.

2019/09/16

作業療法の話をしよう

ブログを始めたのは12年前.twitterやFacebookはなかった.
ネット環境は整っていて,ブログを書いている人は少なかった.
作業療法の世界は手技を中心としたアプローチが圧巻していた.
今でいうOBP,作業に焦点を当てた実践はマイノリティだった.
学会で発表してもオタクとして見られていた気がする.
悔しくなかったけど,満足していなかった.

弱い立場の少数派はネットで叫んでいて,反骨精神は理解できた.
ただ,あまりにも偏った視点だと,読んでいて気恥ずかしかった.
作業は素晴らしい,作業療法は最高だ,と言われても,
効果を証明できない手技アプローチと変わらないじゃないか.
「認めて欲しい」が興奮すると美しくない.
不安が伝播して集団化すると暴力性は正当化されて,みにくい.

技術と技術の対立,技術と理論の対立,理論と理論の対立.
耐えきれず,しかたなくブログを書くことにした.
手段と目的を混同しない.曖昧なことから逃げない.ポジティブ思考になる.
誰かを攻撃するたびに自分が傷つくなんてバカだろ,
自分には前向きな視点と行動力があるってことを思い出そうぜ,
と伝えたかった.

記事を書いているうちに気づいた.
誰かのために書いているつもりでも,自分のために表現していた.
自分のために書いているようで,誰かのために言葉を探していた.
書くこと,読まれることを通して,
誰かと自分を応援したかったのかもしれない.
自分もそうやって支えられた.

そうか,そのために書いてたのか.
対立を根絶することが目的ではなく,
自分と誰かの大切なことを守りたかった.
作業療法士という仕事は不確かなことも多いけど,
より確実な選択肢を多くの人と創り上げたいよ.
作業療法士のためではなく,作業療法が必要な人のために.

京極真さんが沖縄で講演してくれる.
探し続けていたものが,きっと見つかる.
みんなで作業療法の話をしよう.











2019/07/05

12人のクライエントが教えてくれる作業療法をする上で大切なこと


次の文章に惹かれた.

「しかしながら,相対的に価値があるかどうかではなく,絶対的価値観の中で,自己の作業遂行に対する満足度を高めていくことができれば,環境との相互交流の中で生じる揺らぎや葛藤に対して,それ自体をなくすことができなくても,うまく折り合いをつけながら生活を送ることは可能だと思います」
(循環を支援する.p.14

私小説ではなく専門書の場合,本来は執筆者の人格が見えにくい.
あの人だから実践できた,思考できたと解釈される可能性はいくらか抑えられる.
本書は根底に確立された理論や学問,科学の存在があった.
読者は巻末の参考書をきっと読みたくなる.したがって間違いなく専門書である.

が,執筆者がみえた.真摯に歩み続けた臨床家の姿が.
理想的な結果に結びついた支援の裏に,思い込み,知識や技術の不足が招いた苦い経験をみた.
クライエント,家族,職員,さらには自分の意思,価値観,能力,役割を想定し,仮説を立て,
言葉と行動を選び,相手の反応から推察をさらに深める.

その表現を,その構成を選択した背景に,どれほどの迷い,葛藤,後悔があったのか.
重圧と無力感にいくら襲われたのか.
彼は浮き沈みを繰り返す過程で手に入れたものを,私たちが受け取りやすい形で分けてくれた.
前を向こうとする作業療法士が,揺らぎと折り合いをつけながら生きることを願って.

正解なんてない,天才なんていない,完璧な環境なんてありえない.
だからこそ,自分と誰かのことをできる限り想像し,共有し,尊重する.
私たちは作業療法という作業を通して,作業療法士になりつつある.
本日,20197月5日,発売開始.