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2016/09/15

第50回日本作業療法学会 in札幌の旅行記





ホタテ貝は泳ぐ.ヒトデに襲われた時,閉殻筋を収縮させて海水を勢いよく噴き出し,
反作用によって1m以上も水中を跳ぶ.
危険を感じた時に殻を閉じず,開いて命を未来へとつなぐ.


1.日本臨床作業療法学会モーニングセミナー






延べ人数8,000人が参加する日本作業療法学会で,5つの学会がモーニングセミナーを担当.
最も小さい200名キャパの会場にて,発起から3年しか経っていないボクらは
若者らしく挑戦する意味で,テーマを「生活行為マネジメント,熟考」とした.
緊張のあまり開演10分前にトイレのため離席して戻ると,
会場床に座り込む参加者があふれたので入場制限となっていた.
「ちょっとだけ壇上で話しますぅ」と交渉してようやく入場.

大先輩方が前方にずらりと並ぶ中でも理事のみなさんは堂々としており,
古典的なスタンスを保ちながらも自由な視点で持論をスマートに展開した.
全体として完璧だったか迷いはあるけれども,最善であったように思う.
心配し過ぎることよりも,ビジョンの共有を楽しむことができた.
温かい雰囲気を作って頂いた参加者と運営者のみなさんに感謝.



2.作業で結ぶマネジメントの書籍販売開始





事例本の発売日に始まった企画会議から2年が経過して,ついに販売が開始.
講演や学会発表の後に挙がる質疑で最も多いのは,
あなたのように私はできない,私の環境では無理,私でもできる方法を教えて.
というものだった.誰かが何をどうやって目標を達成したかをしっかり検証すると,
彼らは本当に苦労しているし,順番に段階を踏めば自分にもできる.
と思ってもらうことにマネジメント本の存在意義がある.希望が届くといいなぁ.
多忙にも関わらず熱い原稿を書いてくださった執筆者のみなさん,ありがとうございます.


3.口述発表

マネジメント本の原稿をそのまま発表.
他の演者も悩みながらクライエントに真摯に向き合っている臨床が伝わった.
理論や学問,研究を追究することは実践家として必要な姿勢だけれども,
クライエントに向き合っていなければ迷走し,
迷走してることにも気づかずにクライエントから加速度的に遠のいてゆく.

クライエントから離れず,現状の臨床力と思考力に満足せず前進し,
過不足なく自身を評価できる方々と協議できた経験は貴重だった.
新しい視点とあきらめない臨床を共有してくれた演者と座長の籔脇さんに感謝.



4.作業でシリーズ3作目の企画会議

次回は編集に関わらないのだけど好意に甘えて齋藤さん,澤田さんと同席.
友利くん,京極さん,竹林さんの描く未来ビジョンにただただ圧倒された.
早く読みたい!と子供が駄々をこねるように連呼した3時間だった.
未来が効率的に効果的に変われる可能性を感じた.
医学書院の北條さん,同席させていただいたみなさん,ありがとうございます.



5.作業療法定義改定シンポジウム






設立から50年が経過し,7万5,000人の作業療法士によって成り立つ作業療法士協会.
作業療法の定義改定という歴史的な改革の経過報告.
1,000席の会場がだいぶ埋まった状態で友利くんが協会長らと壇上でプレゼン.

インターネット上で「豆腐は白い」って書くと,「白くない豆腐もあります」
「白い豆腐が食べられない人もいるんですよ!」「私の豆腐は白くありませんが」
「厳密にいうと薄いベージュです」「豆腐は黒くあるべきです」「豆腐信者乙」
「豆腐主義者め」「豆腐とはお前自身だ」などのリプがきます.

というツイートが昔に流行ったのを思い出したが,
会場から挙がった意見は紳士的で,建設的で,開かれた視点に基づいたものだった.
多種多様な立場,価値観を持つ会員の意見を集約して最大公約数を模索する仕事は,
想像を超えたプレッシャーと心遣いであったと思う.
前日,勝手に部屋で寝た上,イビキで睡眠不足にしてしまった友利くん,ごめんなさい.
あらー,許すの?寛容だね,ありがとう.



6.小樽臨床作業療法研究会





三崎さん,白井さんに恩返しをするため謹んでお受けした講演.
いつものように友利くんがOBPに関係する理論と根拠を,続いてボクは実践を担当.
安定の友利くんは深く広い視点で作業療法の未来をわかりやすく紐解いてくれた.
ボクの構成はマネジメント本に合わせて編成.熱くなりすぎて珍しく揃ってタイムオーバー.
講演後,若い男性が話しかけてくれた.

「作業療法に魅力を感じなくなって,もう辞めようと思っていました.
でも沖縄で開催された第2回日本臨床作業療法学会に参加して,変わりたい!変われる!と思ったんです.
臨床で勇気を出して動き始めて,今年の3月に東京で開催された第3回学術大会で発表しました.
しかも職場の仲間も一緒に参加することができました.
これからもっと変わっていきます!ボクを見ていてください」

作間さん,ボクのやってきたことに意味を与えてくれて,ありがとう.






困難な状況において,殻を閉じてしまっては何も変えられない.
閉じているのは環境ではなく自分だという事実に向き合い,揺れる感情を受け入れよう.
変われる人は変わる才能があるのだという思い込みを否定して,
才能は行動によって変えることができると信じよう.
より明るい方へ自分をひらいて,跳ぶように進もう.