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2011/02/05

意思決定と情報 Valuable information and decision-making

6年くらい前、親父が鼻の蓄膿を取り出す手術を受ける時、
自らネットで評判を調べて絞った5つの病院耳鼻科の
メール相談ボックスにメールを送ってから決めたらしい。
レスポンスの早さと内容の丁寧さが判断基準だったという。
県内の病院だったら誰かに紹介してもらえばと提案すると、
自分の健康のことを任せる医者は自分で判断して決めると言った。


15年前、親父に腎臓がんが見つかった時、
薬剤師だからすぐに薬でわかってしまうだろうと判断した医師は、
すぐ親父に病名、病状を告知をしたらしい。
5年生存率20%くらいと言われた時は、さすがに激しく動揺したと話す。
それでも、早い段階で正しい情報を集めて、
治療法などを自己決定できたのは良かったと話した。





8年前、精神科から身障系病院に移って初めて担当したクライエントは、
不全麻痺の頚髄損傷の診断名だった。しかし、
整形外科の医師は予後予測の説明をあえて行わず、
予後については触れないで励ますようにと言われた。
退院後は常に介助が必要で自宅生活は難しい、
身体障害者養護施設が望ましいと本人不在のカンファレンスで決定された。

よくわからないが何が違うとボクは思ったので、
ワイヤレスネット接続ができるノートパソコンを持ってきてもらった。
「頚髄損傷」と「病理、予後予測、生活」などのキーワードで検索し、
自分で調べて、退院後の生活はどこで誰とどのように過ごすか決め、
その実現のために必要なサービスを自分で選択して、意思を伝えてください、
と伝えた。彼は県外の脊損専門リハ病院に移り、
2年後に帰ってきて共同住居で一人暮らし、ネット販売の仕事をしている。




クライエントが意思決定をできないケースもあると反論されることもある。
認知機能の低下があるケースを除いた場合でも、本人に求めるのは酷だと言う。
機能訓練を本人が望んでいるから、何年も同じ機能訓練をやっていると聞く。
知らない方が良いこともあると話す人がいる。

情報格差を無視して議論を進めることはできないと思う。
何を決定したかよりも、どのような情報に基づいて決定したかについて、
もっと注意を払ってもいいように思う。




ADOCは情報の格差を埋めるためのツールではない。しかし、
クライエントとOTがそれぞれ選んだ大切な作業を取捨選択する過程で、
その理由をリスクも含めて説明せざる得ない。
それが結果的に情報格差を埋める1つの方法になるかもしれない。

忘れてしまないように気をつけていることは、
情報格差の解消は目的ではないこと。
大切なことは、クライエントが現在および将来においても納得できる、
意思決定ができること。

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