今年は,新しい人生を,ボクらしく歩きました.
ちょうど1年前,私生活が慌ただしく,
すべてのプロジェクトから1年間だけ外れたいと,
tomoriくんや係っている団体,職場の人たちに告げました.
あらゆる選択肢をシミュレーションした決意表明でした.
自分のペースでいいから外れるなと,
みんなが言ってくれました.
いま,この1年で関係したすべての人に,感謝しています.
今年はいろんな人と仕事をしました.
老健における作業療法の効果を検証する研究で,沖縄の老健で学生時代からのマブダチ飯田尚子,そして砂川厚くん,上地ゆかりさん.ありがとう.
県作業療法学会で発表した認知症デイの徳里なおみさん,回復期リハの浦崎みづきさん.
ドリームプレゼンテーション沖縄で発表した,いきがいのまちデイの田村浩介,田中.
そして,うるま市市民公開講座やADOC-Sで共に進んだ琉球リハ学院の仲間さん.ありがとう.
研修や研究で職場を空けることの多かったボクに不満も言わず,そのせいでクソ忙しくなった業務なのに日本作業療法士協会の研修会や沖縄県とNPO法人が主催する研修会で講師を担当したヨヘナ亜紀子さん,ボクが一緒に仕事しようと新卒で引っ張ってきたのにあまり会う時間がない上にYMCA米子OT学術集会で発表した久志仁くん.ありがとう.
職員研修会に招聘してくれた豊見城中央病院の村上典子さん,ゆうなの会デイサービスせんりょうの知花朋弥くん,沖縄協同病院の屋良喜一先輩,ありがとう.
今年は沖縄県外でもお世話になりました.佐賀の上城先生,旧姓)山口みきさん,ありがとう.佐賀の老健OT,池尻さんに出会えたことも大きい転機だった.福岡の渡部夏子ちゃん,西尾絵里香ちゃんはすべてを任せることができる.これからは彼女たちがボクよりも人に影響を与えると思う.ありがとう.
今年,鳥取がすごかった.大西千香子さん,鬼木徳子はボクよりも多くの人に希望を渡してくれた.福岡の渡部,西尾と同じだけど,ほんとうに苦しい中であきらめずに前進しました.そして,デイサービスつむぎの原田伸吾.苦しい時代を乗り越えてきたね.ありがとう.
和歌山の回復期で奮闘する沖田直子ちゃん,ほんと頑張ったね.職場が理解してくれないって話はよく聴くけど,自分が変われば職場は変わるってことを実現してくれたね.関西地域は平田さん,伊藤さん,平松くんに病院で作業に焦点を当てることの難しさと楽しさをリアルタイムで見せてもらいました.関東では重度小児施設でも意思と行動は支援できると教えてくれた天野智美さん,ボクのすべての行動管理と急性期OTの可能性を教えてくれた大野勘太くん,ありがとう.藪脇さん,藤本さんと仕事ができて得るものがたくさんあった.ありがとう.
あぅ,眠い.てか,酔っぱらってる.
竹林崇,齋藤佑樹,澤田辰徳,そして友利幸之介は,今年もボクの価値観と行動を全く新しく変えてくれました.この人たちの努力と結果に,ボクは一生追いつけないとわかった.でも,ボクにできることもあると教えてくれたのは,この人たちだった.ありがとう
高校時代からの親友,神山博之くん,介護情報誌の会社を立上げる過程で一緒に仕事ができて良かった.この1年はお世話になっているので,2014年は恩返しをします.ありがとう.釧路の金城正太,沖縄の和宇慶亮士,苦しい時に助けてくれてありがとう.彼らにも恩返しできる年にしたい.
職場の介護士と看護師の一部が,今年は特に協力してくれた.ありがとう.だから実践ができる.それを人に伝えて,受けた人が新しい知見と技術を教えてくれる.それをまたそれぞれに貢献できる.ボクは小さいし,愚かだし,弱い.でも,それぞれを繋げることが,一部だとしても,できるならがんばろう.ありがとう.
ページ閲覧数
2013/12/31
2013/12/27
介護保険制度の見直し(平成26年度改正に向けて)
厚生労働省介護給付費分科会が17日前の平成25年12月10日に「介護保険制度の見直しに関する意見(素案)」を公開した.ので,タブーに優しく触れてみます.
メインテーマは地域包括ケアシステムの構築と認知症施策の推進.まず,平成23年度の介護予防事業の実績を確認.
二次予防事業のうち主にセラピストが関係する,運動器機能向上をメインにした通所型介護予防事業は約115億円弱.訪問型介護予防事業は約9億円.二次予防事業の対象者か確認するための25項目の基本チェックリストの郵送と判断に費やした費用は150億円.
・・・費用対効果は?
確かに予防の場合は効果を判断することが難しい.感染症と違って健康の定義は広く,健康に影響を与える要因は多過ぎる.「何か」を予防できたのか,何もしなくても予防できたかのを比較するにも難しい.でもだからといって,このまま効果を求められない支援で請求し続けることに不安を感じる.職域拡大のチャンスだと飛びつくのは怖い.やっぱ辞めた,と急に国から告げられる可能性がある.
これを踏まえて,介護予防の推進と在宅サービスについての意見から一部を抜粋します.
「これまでの介護予防の手法は,心身機能を改善することを目的とした機能回復訓練に偏りがちであり,介護予防で得られた活動的な状態をバランスよく維持するための活動や社会参加を促す取り組みが必ずしも十分ではなかったという課題がある」
「これからの介護予防は,機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく,生活環境の調整や,地域の中に生きがい・役割を持って生活できるような居場所と出番作りなど,高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた,バランスのとれたアプローチが重要である」
「このような効果的なアプローチを実践するため,地域においてリハビリテーション専門職等を活かした自立支援に資する取組みを推進し,要介護状態になっても,生きがい・役割を持って生活できる地域の実現を目指すことが適当である」
やったー,やっとわかったか!・・・で,具体的な手段は?
農作業をやっている人は筋力があるからといって,野球が上手くなるわけではない.運動機能が向上→活動性が向上→自信と意欲が向上→生きがいある人生を送れる,という滅茶苦茶な学習転移の理屈だけど絶対的な神話に,疑問を投げかけるだけでも前進と思う.
でも,セラピストが地域に多く配置されるようになっても,セラピストの習慣と価値観が変わらなければ何も変わらないだろうなぁ.「あ,生きがいですね,じゃあ下肢筋トレと骨盤の可動域訓練から始めます・・・10年くらい?」と,なるんじゃないかと思うのは,ボクが心配性だからです,きっと.
大事にしていたランの花を育てるための,特別な日は家族にご飯を作るための,孫に手工芸を作品を送り続けるための,機能訓練であれば,正確ではなくても良いので具体的な期日があれば(たとえば6ヶ月とか9ヶ月とか),リハビリテーション専門職としての存在価値は社会的にある.作業療法士であろうと,理学療法士であろうと.
さて,この資料を集めたのは,通所の責任者らから「作業療法の考え方に基づいてシステムを改変するので,通所利用者の考え方を変換してもらうために講義をしなさい」と言われことが動機.まぁ,こうなるように1年かけて準備をしていたわけだけど.私見は極力控えて,事実はできるだけ正確に伝えた.介護保険の歴史と現状,健康や運動学習の理論,介護保険が向かう未来とその根拠について,わかりやすさを意識してプレゼンした.
「あなたたちの未来は,あなたたちが作るのです.私たちは手伝いをするのです.あなたちがそれぞれ,自分はやりたいことができているから不健康ではないと感じるために,私たちと共に模索し,計画し,実施し続けましょう」と伝えた.
根拠も手段も曖昧ですが,でもだからこそ共に,と付け加えて.これが良いか正しいかはわからないけど,隠したり誤摩化すよりは誠実だと思っている.少なくても,運動しないと寝たきりになりますよと,運動の程度と寝たきりへのプロセスを曖昧にしたまま脅すよりは後味が悪くない.
何をやるかよりも,なぜやるのかを初めに伝えることが重要だと思っていた.今回の介護保険の見直し案は役に立ったけど,データや施策案はあくまでも手段.様々な立場から批判的に吟味できる余地がある資料であることを理解しつつ,自分が伝えたいことはブレないように伝えたい.自分を批判できる余裕も保ちつつ,謙虚かつ批判だけの専門家にならないように利用者,家族,職員に伝え続けたい.
メインテーマは地域包括ケアシステムの構築と認知症施策の推進.まず,平成23年度の介護予防事業の実績を確認.
二次予防事業のうち主にセラピストが関係する,運動器機能向上をメインにした通所型介護予防事業は約115億円弱.訪問型介護予防事業は約9億円.二次予防事業の対象者か確認するための25項目の基本チェックリストの郵送と判断に費やした費用は150億円.
・・・費用対効果は?
確かに予防の場合は効果を判断することが難しい.感染症と違って健康の定義は広く,健康に影響を与える要因は多過ぎる.「何か」を予防できたのか,何もしなくても予防できたかのを比較するにも難しい.でもだからといって,このまま効果を求められない支援で請求し続けることに不安を感じる.職域拡大のチャンスだと飛びつくのは怖い.やっぱ辞めた,と急に国から告げられる可能性がある.
これを踏まえて,介護予防の推進と在宅サービスについての意見から一部を抜粋します.
「これまでの介護予防の手法は,心身機能を改善することを目的とした機能回復訓練に偏りがちであり,介護予防で得られた活動的な状態をバランスよく維持するための活動や社会参加を促す取り組みが必ずしも十分ではなかったという課題がある」
「これからの介護予防は,機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく,生活環境の調整や,地域の中に生きがい・役割を持って生活できるような居場所と出番作りなど,高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた,バランスのとれたアプローチが重要である」
「このような効果的なアプローチを実践するため,地域においてリハビリテーション専門職等を活かした自立支援に資する取組みを推進し,要介護状態になっても,生きがい・役割を持って生活できる地域の実現を目指すことが適当である」
やったー,やっとわかったか!・・・で,具体的な手段は?
農作業をやっている人は筋力があるからといって,野球が上手くなるわけではない.運動機能が向上→活動性が向上→自信と意欲が向上→生きがいある人生を送れる,という滅茶苦茶な学習転移の理屈だけど絶対的な神話に,疑問を投げかけるだけでも前進と思う.
でも,セラピストが地域に多く配置されるようになっても,セラピストの習慣と価値観が変わらなければ何も変わらないだろうなぁ.「あ,生きがいですね,じゃあ下肢筋トレと骨盤の可動域訓練から始めます・・・10年くらい?」と,なるんじゃないかと思うのは,ボクが心配性だからです,きっと.
大事にしていたランの花を育てるための,特別な日は家族にご飯を作るための,孫に手工芸を作品を送り続けるための,機能訓練であれば,正確ではなくても良いので具体的な期日があれば(たとえば6ヶ月とか9ヶ月とか),リハビリテーション専門職としての存在価値は社会的にある.作業療法士であろうと,理学療法士であろうと.
さて,この資料を集めたのは,通所の責任者らから「作業療法の考え方に基づいてシステムを改変するので,通所利用者の考え方を変換してもらうために講義をしなさい」と言われことが動機.まぁ,こうなるように1年かけて準備をしていたわけだけど.私見は極力控えて,事実はできるだけ正確に伝えた.介護保険の歴史と現状,健康や運動学習の理論,介護保険が向かう未来とその根拠について,わかりやすさを意識してプレゼンした.
「あなたたちの未来は,あなたたちが作るのです.私たちは手伝いをするのです.あなたちがそれぞれ,自分はやりたいことができているから不健康ではないと感じるために,私たちと共に模索し,計画し,実施し続けましょう」と伝えた.
根拠も手段も曖昧ですが,でもだからこそ共に,と付け加えて.これが良いか正しいかはわからないけど,隠したり誤摩化すよりは誠実だと思っている.少なくても,運動しないと寝たきりになりますよと,運動の程度と寝たきりへのプロセスを曖昧にしたまま脅すよりは後味が悪くない.
何をやるかよりも,なぜやるのかを初めに伝えることが重要だと思っていた.今回の介護保険の見直し案は役に立ったけど,データや施策案はあくまでも手段.様々な立場から批判的に吟味できる余地がある資料であることを理解しつつ,自分が伝えたいことはブレないように伝えたい.自分を批判できる余裕も保ちつつ,謙虚かつ批判だけの専門家にならないように利用者,家族,職員に伝え続けたい.
2013/12/20
デザインするプレゼン
デザインとは派手さや装飾ではなく,
「より良くする行動」を促すための手段.
アートというよりは戦術としての,デザインについて.
先日,作業科学セミナーの懇親会で,
ML(メーリングリスト)の紹介についてプレゼンした.
プレゼン資料を作成する過程についてメモ.
まず,Macへ向かう前に無印のノートを広げた.
MLの機能や効果を伝える意義を,延々と自問.
MLはなぜ必要か,なぜプレゼンする必要があるのか?
MLはネットワークや学問追求につながる.
それらは目的と思われがちだが,おそらく手段.
ネットワークや学問追求は何の為に必要か考えてみた.
作業科学を学ぼうとすることや,
作業科学セミナーに参加する意味と同じことだと思った.
つながりや知ることで,何を得ることができると期待するのか?
ある課題が存在していて,それをどのように解決したくて,
課題が解決した状態とは何かをイメージしてみた.
ADOC' Missionを思い出した.
大切な作業(Meaningful Occupation)の実現が,
やりがいのある仕事(Meaningful Occupation)を実現する.
自分と自分に関係する人が,より良い自分になるため,だ.
・・・なるほど.
それが目的で,参加者がそれが実現できたと思えた状態が,目標.
構成は決まった.
作業科学のML紹介という場なので,もう少し深めてみる.
ゴールデン・サークルの理屈で全体の流れを組み立て,
さらにゴールデン・サークルと作業科学を結びつけてみた.
作業的意味を目的(Why),作業的機能を実現する方法(How),
作業形態を結果として現れた行動(What)として考えてみた.
毎日,考えに考えて,この結びつきが思い浮かんだ時,見えた.
「みなさんが自分と,自分に関係する人の作業的公正を,
実現するための鍵を手の中に握っているのは,
・・・6分後です」
MLというシステムを紹介する場ですが,
MLに参加するという作業の,
作業的意味を,考えてみます.
「まず,メールを開く」
バリアがあるのです.
このバリアを作っているのは,私たちです」
「このバリアは高くて固いように見えます.
でも,作業的意味を思い出してみましょう.
作業的意味を満たすことをイメージできれば,
バリアが低いことに気づくハズです」
「私たちは,メールを開くことから始まる作業形態に,
囚われ過ぎです.イメージしましょう,作業的意味を.
私たちは,今ここで,なぜ出会っているのか,考えてみましょう」
「私たちは,私たちと,私たちに関係する人々が,
より良い自分になることを実現するために,ここで出会いました.
MLへの参加は作業形態が異なりますが,意味は同じことです」
「私たちが,今,手に入れたのは,
私たちと,私たちに関係する人々が,より良い自分になるために,
私たちにできる1つの方法です」
「続きは,MLで.
静かに聴いてくださり,ありがとうございました.
6分を過ぎましたが 笑」
「より良くする行動」を促すための手段.
アートというよりは戦術としての,デザインについて.
先日,作業科学セミナーの懇親会で,
ML(メーリングリスト)の紹介についてプレゼンした.
プレゼン資料を作成する過程についてメモ.
まず,Macへ向かう前に無印のノートを広げた.
MLの機能や効果を伝える意義を,延々と自問.
MLはなぜ必要か,なぜプレゼンする必要があるのか?
MLはネットワークや学問追求につながる.
それらは目的と思われがちだが,おそらく手段.
ネットワークや学問追求は何の為に必要か考えてみた.
作業科学を学ぼうとすることや,
作業科学セミナーに参加する意味と同じことだと思った.
つながりや知ることで,何を得ることができると期待するのか?
ある課題が存在していて,それをどのように解決したくて,
課題が解決した状態とは何かをイメージしてみた.
ADOC' Missionを思い出した.
大切な作業(Meaningful Occupation)の実現が,
やりがいのある仕事(Meaningful Occupation)を実現する.
自分と自分に関係する人が,より良い自分になるため,だ.
・・・なるほど.
それが目的で,参加者がそれが実現できたと思えた状態が,目標.
構成は決まった.
作業科学のML紹介という場なので,もう少し深めてみる.
ゴールデン・サークルの理屈で全体の流れを組み立て,
さらにゴールデン・サークルと作業科学を結びつけてみた.
作業的意味を目的(Why),作業的機能を実現する方法(How),
作業形態を結果として現れた行動(What)として考えてみた.
毎日,考えに考えて,この結びつきが思い浮かんだ時,見えた.
「みなさんが自分と,自分に関係する人の作業的公正を,
実現するための鍵を手の中に握っているのは,
・・・6分後です」
MLに参加するという作業の,
作業的意味を,考えてみます.
「作業科学研究会は今年度,作業科学を研究するための研修会と,
作業科学と作業療法を結びつけるための研修会を開催しました.
基礎科学か応用科学かという議論に決着がついてないにも関わらず.です」
「これはおそらく,挑戦です.踏み切ったのは,なぜでしょうか?
みなさんとみなさんに関係する人が,より良い自分になるため,です.
他の理由が私には,思い浮かびません」
「次に,みなさんと,みなさんに関係する人々が,
より自分らしくなるために,必要な方法を考えてみます」
「ネットワークの構築と,作業に関する学問を追求することです.
私たちはこれが目的だと思いがちです.
ですが,忘れてはいけません,これは手段です」
「それでは最後に,目的を実現するための方法を遂行した場合,
何が観察されるか,評価してみます.
私たちのほとんどは作業療法士なので,これは得意です」
「次に,メールを打ち込む」
「最後に,送信する」
「形態を見るとシンプルです.
シンプルですが,MLに投稿するのは気が引ける.バリアがあるのです.
このバリアを作っているのは,私たちです」
「このバリアは高くて固いように見えます.
でも,作業的意味を思い出してみましょう.
作業的意味を満たすことをイメージできれば,
バリアが低いことに気づくハズです」
「私たちは,メールを開くことから始まる作業形態に,
囚われ過ぎです.イメージしましょう,作業的意味を.
私たちは,今ここで,なぜ出会っているのか,考えてみましょう」
「私たちは,私たちと,私たちに関係する人々が,
より良い自分になることを実現するために,ここで出会いました.
MLへの参加は作業形態が異なりますが,意味は同じことです」
「私たちが,今,手に入れたのは,
私たちと,私たちに関係する人々が,より良い自分になるために,
私たちにできる1つの方法です」
静かに聴いてくださり,ありがとうございました.
6分を過ぎましたが 笑」
2013/12/18
生活期リハビリテーションの効果についての評価方法
平成24年4月の介護報酬改定においては,「自立支援型サービスの強化と重点化」の観点からリハビリテーション,機能訓練の充実が図られた,ことになっている.ただし,リハ専門職と介護職の連携強化など生活期リハのあり方は検討するべきとされており,さらにリハ効果の評価手法について検討することになっていた.
平成24年度介護報酬改定の効果検証および調査研究に係る調査の結果(最終版)が,平成25年9月4日に厚生労働省の介護給付費分科会からHPで公開されていた.
要支援者.要介護者のIADL等に関する状態像とサービス利用内容に関する調査研究事業や,認知症の人に対する通所型サービスのあり方に関する調査研究事業,介護サービス事業所における医療職のあり方に関する調査研究事業など11事業についての最終報告書になっている.
それぞれの事業報告書は100ページ以上にわたるが,最終報告書は簡潔に各事業報告がA4用紙1枚に整理されている.今回は生活期リハビリテーションの効果についての評価方法に関する調査を紹介しますよ.
調査の目的は生活期リハビリテーションのアウトカム評価に活用できる可能性のある11指標について評価・検討し,生活期リハビリテーションのアウトカム評価の可能性について検討すること.対象は全国老人デイ・ケア連絡協議会などの推薦によって選ばれた49事業所で,回収率は100%
これらの事業所より同一利用者について2ヶ月毎に3回評価を実施.利用者は500〜600名.調査の実施後に通所リハ,通所介護,訪問リハの各1事業所に対してヒアリングを行い,本調査で評価を行ったアウトカム指標についての意見や感想を収集.
面白そうでしょ.ちなみに事業報告をしているのは三菱総合研究所.結果に移る前に,最終報告書には記されていない11のアウトカム指標を確認しましょう.それは高齢者生活機能調査基本チェックリスト,Life-Space Assessment,要支援者等の活動能力指標,手段的日常生活動作検査(Lawton IADL),基本的日常生活能力(Barthel index),機能的自立度評価表(FIM),意欲(Vitality Index),情緒・気分・高齢者抑うつ尺度(GDS-15),健康関連QOL(SF-8),長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R),Zarit 介護負担尺度日本語版 短縮版でした.
さて,結果です.
「通所リハについて,いずれに指標においても,1回目→2回目→3回目に継続的に改善または悪化する傾向はなく,また変化の水準も小さいことから,これらの指標によって生活期リハビリテーションの効果を評価することは困難であることが示唆された.なお,通所介護および訪問リハにおいても同様の結果となっている」
・・・効果を調べるための調査ではなく,効果の評価法を探すための調査だったので,このように解釈されています.結果だけを見るとショックですが,興味深いです.リハ内容は議論されていませんので,この結果ですべての判断はできないと思う.ちなみに,関節可動域,筋緊張,筋力の評価は指標の中に入ってません.
各評価指標における変化の妥当性について
「『適切な連携の基で急性期・回復期リハ病棟からの退院者については,改善する利用者が多い』といった限定的な条件での変化について検証.この条件であれば,FIMはリハ効果を捉える可能性があると判断」・・・ごもっとも.
各評価指標と生活期リハの効果との関係性について.
「4ヶ月という短期間で効果の判定を行うことは難しい.専門家らは身体状況等を『維持』できることも十分な効果であるとの意見も挙げられた」
・・・んー,目的と目標のないサービスを正当化する可能性があると思いました.
繰り返しますが,今回は提供したリハビリテーションの内容は定義されていません.たぶん.研究のことはあまり分からないのだけど,リハ効果の判断基準となる指標を模索するなら,リハ内容の定義は大事だと思う.CI療法(Constraint-induced movement therapy)のようなエビデンスが保証されている介入なら,今回の結果は変わったでしょう.そうなると,通所リハと通所介護という機能分化の形態も変わる可能性がある.預かり型,自立支援型,機能訓練型に分かれるかもしれない.
どれが正しいか,良いかという議論ではなく,サービスが類型化されるということ.続きは次の機会に.
最後にもう1つ.
「生活期リハビリテーションの『効果』そのもの定義を検討するべきという意見が多かった.例えば,個別計画において位置づけられているような『地域の中での社会活動に参加ができるようになる』,『目標としていた場所に行くことが可能になる』といった目標の達成は,身体状況等の改善がなくてもできる場合もある」
・・・あ!
ADOC
それから生活行為マネジメント表(簡易版),COPM,OSA-Ⅱとか他にいろいろ.個人的にはOPAがイチオシ.作業療法の評価は,この課題に貢献できる可能性があると個人的には思う.それはボクが作業療法士だからそう思うだけのことかもしれないけど,そうだとしても提案や意見は構わないよね.むしろ専門職としての意見を提案できるからこそ,専門職としての存在価値があるんじゃないかな.だよね.
平成24年度介護報酬改定の効果検証および調査研究に係る調査の結果(最終版)が,平成25年9月4日に厚生労働省の介護給付費分科会からHPで公開されていた.
要支援者.要介護者のIADL等に関する状態像とサービス利用内容に関する調査研究事業や,認知症の人に対する通所型サービスのあり方に関する調査研究事業,介護サービス事業所における医療職のあり方に関する調査研究事業など11事業についての最終報告書になっている.
それぞれの事業報告書は100ページ以上にわたるが,最終報告書は簡潔に各事業報告がA4用紙1枚に整理されている.今回は生活期リハビリテーションの効果についての評価方法に関する調査を紹介しますよ.
調査の目的は生活期リハビリテーションのアウトカム評価に活用できる可能性のある11指標について評価・検討し,生活期リハビリテーションのアウトカム評価の可能性について検討すること.対象は全国老人デイ・ケア連絡協議会などの推薦によって選ばれた49事業所で,回収率は100%
これらの事業所より同一利用者について2ヶ月毎に3回評価を実施.利用者は500〜600名.調査の実施後に通所リハ,通所介護,訪問リハの各1事業所に対してヒアリングを行い,本調査で評価を行ったアウトカム指標についての意見や感想を収集.
面白そうでしょ.ちなみに事業報告をしているのは三菱総合研究所.結果に移る前に,最終報告書には記されていない11のアウトカム指標を確認しましょう.それは高齢者生活機能調査基本チェックリスト,Life-Space Assessment,要支援者等の活動能力指標,手段的日常生活動作検査(Lawton IADL),基本的日常生活能力(Barthel index),機能的自立度評価表(FIM),意欲(Vitality Index),情緒・気分・高齢者抑うつ尺度(GDS-15),健康関連QOL(SF-8),長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R),Zarit 介護負担尺度日本語版 短縮版でした.
さて,結果です.
「通所リハについて,いずれに指標においても,1回目→2回目→3回目に継続的に改善または悪化する傾向はなく,また変化の水準も小さいことから,これらの指標によって生活期リハビリテーションの効果を評価することは困難であることが示唆された.なお,通所介護および訪問リハにおいても同様の結果となっている」
・・・効果を調べるための調査ではなく,効果の評価法を探すための調査だったので,このように解釈されています.結果だけを見るとショックですが,興味深いです.リハ内容は議論されていませんので,この結果ですべての判断はできないと思う.ちなみに,関節可動域,筋緊張,筋力の評価は指標の中に入ってません.
各評価指標における変化の妥当性について
「『適切な連携の基で急性期・回復期リハ病棟からの退院者については,改善する利用者が多い』といった限定的な条件での変化について検証.この条件であれば,FIMはリハ効果を捉える可能性があると判断」・・・ごもっとも.
各評価指標と生活期リハの効果との関係性について.
「4ヶ月という短期間で効果の判定を行うことは難しい.専門家らは身体状況等を『維持』できることも十分な効果であるとの意見も挙げられた」
・・・んー,目的と目標のないサービスを正当化する可能性があると思いました.
繰り返しますが,今回は提供したリハビリテーションの内容は定義されていません.たぶん.研究のことはあまり分からないのだけど,リハ効果の判断基準となる指標を模索するなら,リハ内容の定義は大事だと思う.CI療法(Constraint-induced movement therapy)のようなエビデンスが保証されている介入なら,今回の結果は変わったでしょう.そうなると,通所リハと通所介護という機能分化の形態も変わる可能性がある.預かり型,自立支援型,機能訓練型に分かれるかもしれない.
どれが正しいか,良いかという議論ではなく,サービスが類型化されるということ.続きは次の機会に.
最後にもう1つ.
「生活期リハビリテーションの『効果』そのもの定義を検討するべきという意見が多かった.例えば,個別計画において位置づけられているような『地域の中での社会活動に参加ができるようになる』,『目標としていた場所に行くことが可能になる』といった目標の達成は,身体状況等の改善がなくてもできる場合もある」
・・・あ!
それから生活行為マネジメント表(簡易版),COPM,OSA-Ⅱとか他にいろいろ.個人的にはOPAがイチオシ.作業療法の評価は,この課題に貢献できる可能性があると個人的には思う.それはボクが作業療法士だからそう思うだけのことかもしれないけど,そうだとしても提案や意見は構わないよね.むしろ専門職としての意見を提案できるからこそ,専門職としての存在価値があるんじゃないかな.だよね.
2013/12/05
共に歩む OSセミナー福島
先週末,福島で開催された作業科学セミナー(←抄録集にリンク)へ参加した.楽しみにしていたのは,侍OTの夢が実現する場に同席できること.そしてセミナーで発表する3人の仲間たちが成長する機会に参加できること.3人ともADOC関連の事例報告だった.
OSセミナーで発表したいと相談があった3人に対して,純粋な作業科学者ではないボクがサポートすることに抵抗があった.抄録のたたき台を読んだ時は,作業科学ではなくて作業療法の事例報告なので,別の場に発表した方が良いと勧めた.
でも,彼女らは自分たちの臨床を展開する上で,心強い存在だった作業科学のセミナーに発表したいと強く訴えた.彼女らを作業療法のクライエントと定義し,共に歩むことにした.そこからは半年ほどメール,Skype,電話でずっとインタビュー
何を伝えたいの?なぜ伝えるの?目的が実現したかどうかは何で判断するの?という感じで共に模索.特に和歌山の沖田さんは相談があった時点で介入中の事例だったので,目標設定や介入計画についても一緒に模索した.
それはtomoriくんに教えてもらったやり方だった.めがねOTさんも侍OTもやっていることだった.どんなに困難な状況でも,ムリだと言われても,誰かに助けてもらうのではなく,自分で変われると信じていた.
当日の彼女たちのプレゼンは情熱的な瞳で,真摯な語り口だった.プレゼンを聴いている方々の視線,言葉は,自分が関係しているクライエントやチームメイトをイメージしているようだった.事例報告の成果や過程よりも,未来を共有しているように見えた.
木田さんの講演は過去に聴いたすべてのプレゼンの中で,最高だった.震災や原発事故からの避難が生々しかったからではない.思い描く未来が理想的だったからではない.生々しさと理想を結ぶ過程が魅力的だった.
木田さんが伝えたかったのは,どんな環境でも作業療法士は作業療法ができる.どんな状況でもクライエントに作業療法は求められている.作業療法士とクライエントとチームを含めて誰にでも,自分と環境を変える力は備わっている.ということだと思った.
それは作業科学セミナー福島の運営メンバーも,参加者も理事会も同じことを期待しているんじゃないかな.何をやるかではなく,志でつながっている.
名刺交換して,感動して,発表して,終わりじゃない.
未来を作るために,共に歩む.
最後に,発表した仲間から今朝届いたメールを紹介.
「みんな同じように悩んでいるんだなってわかりましました.そして,もっと自分にできることがあるんじゃないかって心残りが出てきました.これを次のクライエントに活かしたいです.もっとより良い支援を,1人だけじゃなくて,すべてのクライエントに提供したいです.このクライエントの出会いを,活かせるようにしたいです.自分のためにも,チームのためにも」
OSセミナーで発表したいと相談があった3人に対して,純粋な作業科学者ではないボクがサポートすることに抵抗があった.抄録のたたき台を読んだ時は,作業科学ではなくて作業療法の事例報告なので,別の場に発表した方が良いと勧めた.
でも,彼女らは自分たちの臨床を展開する上で,心強い存在だった作業科学のセミナーに発表したいと強く訴えた.彼女らを作業療法のクライエントと定義し,共に歩むことにした.そこからは半年ほどメール,Skype,電話でずっとインタビュー
何を伝えたいの?なぜ伝えるの?目的が実現したかどうかは何で判断するの?という感じで共に模索.特に和歌山の沖田さんは相談があった時点で介入中の事例だったので,目標設定や介入計画についても一緒に模索した.
それはtomoriくんに教えてもらったやり方だった.めがねOTさんも侍OTもやっていることだった.どんなに困難な状況でも,ムリだと言われても,誰かに助けてもらうのではなく,自分で変われると信じていた.
当日の彼女たちのプレゼンは情熱的な瞳で,真摯な語り口だった.プレゼンを聴いている方々の視線,言葉は,自分が関係しているクライエントやチームメイトをイメージしているようだった.事例報告の成果や過程よりも,未来を共有しているように見えた.
木田さんの講演は過去に聴いたすべてのプレゼンの中で,最高だった.震災や原発事故からの避難が生々しかったからではない.思い描く未来が理想的だったからではない.生々しさと理想を結ぶ過程が魅力的だった.
木田さんが伝えたかったのは,どんな環境でも作業療法士は作業療法ができる.どんな状況でもクライエントに作業療法は求められている.作業療法士とクライエントとチームを含めて誰にでも,自分と環境を変える力は備わっている.ということだと思った.
それは作業科学セミナー福島の運営メンバーも,参加者も理事会も同じことを期待しているんじゃないかな.何をやるかではなく,志でつながっている.
名刺交換して,感動して,発表して,終わりじゃない.
未来を作るために,共に歩む.
最後に,発表した仲間から今朝届いたメールを紹介.
「みんな同じように悩んでいるんだなってわかりましました.そして,もっと自分にできることがあるんじゃないかって心残りが出てきました.これを次のクライエントに活かしたいです.もっとより良い支援を,1人だけじゃなくて,すべてのクライエントに提供したいです.このクライエントの出会いを,活かせるようにしたいです.自分のためにも,チームのためにも」
登録:
投稿 (Atom)