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2017/05/21

第4回 日本臨床作業療法学会 学術大会  - 思う×行動 -

ぬるぬるした手汗だった.疲労と二日酔いと慣れない環境のためか.
反射的に手すりを強く握った.
いや違う,動いていない.向こう側の電車だ.

運動知覚のひとつである誘導運動は,
対象間で「取り囲むもの」と「取り囲まれるもの」の関係が成立するとき,
後者の知覚的空間枠組となり,後者の運動が知覚される. 


2017年5月,日本臨床作業療法学会の学術大会に参加するため,仙台で3日間を過ごした.
大会長の齋藤さんはメッセージを送った.
揺るがない意志を自分の中に見つけて育み,
意志に従って行動することで自分が求めている人と繋がることができる.

意味を理解できるのは,行動を起こした経験のある者だけであろう.
結婚や育児,身近な者との死別と似ている.
経験しなければいつまでも理解できないし,経験したらすぐに理解できる.
理解できたら,解釈は変わり続けるかもしれないが忘れることはできない.


何かを変えることができたと実感できた人は,
自分の可能性に期待できる.
変えることができたという記憶と,
またできるはずだという想像力は行動力を高める.

全てを変える必要はない.完璧である必要もない.
小さい経験でも構わない.ペースも個々人で進めればいい.
小さくてもゆっくりでも変えることができた人は,特別な視点を手に入れる.
他人の言葉の中に含まれるストレスや有能感を感じ取る.

学会発表のように目標へ到るまでのプロセスが明確で,
行動の結果がすぐにわかるような状況で説明されると,
自分の経験を重ねるように考え方や方法を学習していく.

こうして成長した会員は点で,大きくなった点が集まれば組織である線も太くなる.
学会の目標は作業を大切にした実践を確かなものにすることであり,
理事も含めた会員の目的はより質の高い臨床実践や研究を究めることにある.
学会の目標と会員の目的に接点がある限り,互いに好影響を与え合うだろう.

そんなことを考えながら,演題発表をできるだけ多く聴いて回った.
行動する者たちに取り囲まれた会員は,
勇気と知恵を振り絞った行動や成果を見える化していた.
まるで自分も何かを成し遂げたような感覚になった.

でも違う,わかっている.動いたのは自分じゃない.
まだ動ける,もっと前進できる.自分の意志に従い,行動しよう.
自分に抱く期待値を超えて進め,自分.