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2014/12/26

2015年1月11日 特講:その人らしさを取り戻すリハビリテーション in 和歌山

和歌山クリニカルリハビリテーション研究会

今回,友利さんが作業についての理論とエビデンスについて講義をします.
その後,ボクは実践について講義をしますが,メインはその後にあります.
和歌山の寺下病院に勤める若手,沖田直子さんと坂井優介さんの事例報告です.

友利さんと6ヶ月かけて介入をサポートしましたが,ボクらが助言したことは3つです.
「OTはどうしたいのか」,「どうすればできると思うのか」,「イイね!」
経験年数に関係なく私たちに意志があれば,
自分にも環境にも変化を起こせることがわかると思います.

今年は作業で語る事例報告が発売されました。
おかげさまで2回目の増刷になりそうです。
事例を書いているのは20〜30代の作業療法士です。

日本臨床作業療法学会が発起した年でもありました。
第二回大会は沖縄で開催されますが、演者の多くは若手です.
誰でも参加できる一般申し込みは12月31日が締め切りです.

学会申し込みはこちら

講習会や学会に参加して体験することは手段です.
目的は自分と社会のためにできる目標を探し,
目標に近づくためのルート確保ができることです.




和歌山の講義でボクが予定している事例報告メニューを紹介します.

①急性期から回復期(COPM,カナダ作業遂行モデル,上肢機能訓練)
交通事故によって遷延性意識障害と診断された児童の地域生活に向けて,母親へ面接して目標設定した事例

一生寝たきりだから施設に入れなさいと医師に言われた事例が,6ヶ月後には自宅に帰ってスプーンを使って自分でご飯を食べれるようになりました.それ以上の成果は,家族がこれから先に何があっても不安なく生活を共に送れると話したことです.私の人生を変えた事例です.

②回復期(作業科学,役割再獲得モデル,家族支援)
重度の遷延性意識障害が残存したクライエントが母親としての役割再獲得できるよう,家族による外出支援を実践した回復期リハ病棟の事例

回復期リハ病棟で最後に担当し,NSTとシーティングの技術で作業的存在に近づけたと思われる事例です.毎週,介護タクシーを使ってスタバで家族と嚥下訓練を繰り返し,10週間後には自宅への外出練習で家族が作ったご飯を食べることができました。

③通所リハビリテーション(OSA-Ⅱ,AMPS,人間作業モデル)
発症から7年が経過した片麻痺事例の主婦役割再獲得に向けた支援

週に1回だけ勤めていた通所リハで,介入して3ヶ月後にOSA-ⅡとAMPSが向上した事例です.車いすの生活は変わりませんでしたが,「あきらめていた役割を取り戻せた」と涙目で語っていました.作業遂行レベルが変化すると環境からの期待も変わります.

④通所介護(ADOC,作業科学,就労支援)
15年ぶりに仕事を再獲得できたと感じれることを目標にした通所介護の支援

週に1〜2回の介入で3ヶ月後に本人が選択した作業の満足度が向上した事例です.重度の失語症と運動麻痺は残存していましたが,事例にとって大事な作業を共に発掘できました.支援することが必然的に決まっていく過程にこそ,作業療法らしさがあります.

⑤特養ホーム(ADOC,訓練計画書作成,チーム連携)
入居から10年が経過したクライエントに対する価値ある役割再体験の支援

いわゆる10年おでんです.動画はよく流しますが,評価から介入までの過程はあまり報告したことがありません.これは同僚の介入で、介護保険サービスにおいてチームと連携して作業療法を実践するためのヒントが得られると思います.

⑥特養ホーム(ADOC,認知行動療法,家族連携)
無断離棟を繰り返す認知症高齢者の役割再獲得に向けた支援

こちらも同僚の介入で,問題行動と呼ばれている行為の意味と目的を丁寧に探って計画的に支援した事例です.特養ホームは長期的に関わるため作業遂行レベルが低下する場合も多く,作業療法の成果は何をもって測るのかと悩む時にいつも思い出します.


近畿地方のみなさんと共に作業療法を模索できる機会が今から楽しみです.

2014/12/18

日本臨床作業療法学会の参加応募は,今月末が締め切りですよ




日本臨床作業療法学会 参加申し込み


演者,共同演者以外でも,
すべての希望者が参加できます.

なお,各セッション間の移動はできませんが,
ファシリテーターの講義が2〜3時間組み込まれています.
各セッションの代表者1名の発表は,2月8日(日)の全体会でも視聴できます.
発表形式は全て口述の15分で,分科会の質疑時間は各セクションで異なります.


セッション①急性期で作業に焦点を当てる
ファシリテーターは三﨑 一彦(済生会小樽病院)さんへ変更しました.
急性期でOBPは可能か?
その問いに答えるのは三崎さんが最適だと,理事会で意見が一致しました.
急な依頼にも関わらず快諾いただき,感謝です.
三崎さんのTwitterから勝手に抜粋して紹介します.

「意味ある作業を可能にするために,治るものはきちんと治す技術も,
病院OTには必要です.OBPは機能訓練しない,という狭い見方ではなく,
医学モデルと作業行動モデルの融合がこの国の作業療法だと思うのです.
大切なのは Occupation centeredです」






セッション②回復期で作業療法に焦点を当てる
ファシリテーターの齋藤佑樹さんは2日目から参加いたします.
勉強会としては異例の規模と影響力を持つ湘南OT交流会の藤本一博さん,
事例本の齋藤佑樹さんがファシリテートと特別講義を担当してくれます.

理論と実践を結びつける2人とじっくり話し合ってください.
私は回復期リハ病棟で勤めていた頃,どこかに仲間はいるのかなと思ってました.
全国にたくさんいました,こんなにも ↓






セッション③作業療法に焦点を当てた上肢機能訓練
作業療法の理論に基づいて学会で発表するようになった頃,
機能回復の可能性をあきらめている,と批判されることがよくありました.
効果の根拠もないのに毎日同じ治療を繰り返したままで退院させるなよ,
と私は返していたので,いつも険悪な雰囲気の議論ばかりでした.

ファシリテーターの竹林崇さんに出会ったのは最近ですが,
彼の講義を受けるとハンマーで頭を殴られたような衝撃を受けます.しかも,2回.
1つは上肢治療効果の根拠を示せるリハビリテーションが確かに存在すること.
2つめはクライエントの行動変容を目的にしているため,よく話を聴いていること.
作業と機能は対立しません,両立できます.むしろ,両立せざる得ません.







セッション④精神症状ではなく作業療法に焦点を当てる
私は精神科で勤めていたころ作業療法がわからず,いつも不安でした.
仲地宗幸さん,坂本 将吏さんの所属は,沖縄の株式会社とNPO法人です.
しかし県外の精神科病院で勤めた臨床経験の方が長く,管理者の役割も担っていました.

彼らは精神科病院や地域資源の現実を,隅の隅から裏の裏まで知っているのです.
その環境で理想を求めて時に喜び,時に悔しい思いをした上での,いまの職場です.
地域でその人らしい支援を日々重ねる二人の視点が,演者の背中を支えるはずです.
参加者は建設的で現実的に実現可能な議論を体験できます.





セッション⑤在宅・入所で作業療法に焦点を当てる
ファシリテーターの田村さんと私は10年前に沖縄で県作業行動研究を発起し,その後は
県作業科学研究会,県作業療法教育法研究会などを共に運営してきました.
ADOCの研究データを共に集め,OSセミナーや作業行動講習会の開催に協力しました.

テキストと論文を暗記するほど読み込み,実践し,事例報告をしてきました.
それでもわからないことばかりでした.もっと共に学べる人を増やそうと図り,
自分がより成長できる視点と刺激を与えてくれる人を探していました.

それぞれの環境や立場で作業を大事にした実践をしている人が,こんなにいます.
結果だけではなくプロセスを開いて確認することで,臨床を追体験できるでしょう.
私たちに何ができるかは,私たちが動けば見えてきます.






セッション⑥
登録演題に対応するためセッション名を変更しました.
作業に焦点を当てた就労支援→作業療法に焦点を当てた地域生活移行支援
ファシリテーターの建木 健さんは大学教員をしながらNPO法人を運営しています.

NPO法人えんしゅう生活支援netは2011年4月に設立され,
高次脳機能障害をお持ちの方を中心に自立支援法に基づく生活訓練事業や
就労移行支援事業を行う「ワークセンター大きな木」,
就労移行支援事業と就労継続B型事業を行う「ワークセンターふたば」,
就労している人と就労を目指す人たちの集い場になる就労継続事業「ナイトサロン」です。

病院や施設の中にいるだけでは見えなかったクライエントの可能性を,
参加者は共に見つけることができるでしょう.
そして地域では重要な位置を占める連携について,理解を深める機会になるでしょう.






セッション⑦子供の作業療法に焦点を当てた支援
病院に勤めながらもあらゆる現場に飛び込み作業療法の視点で組織を巻き込む山口さん,
幼稚園や小学校でADOC-Sを片手に精力的な巡回相談をひとりで継続している仲間さん.
この2人にファシリテーターを依頼するため設けたセッションです.

演者のみなさんが書いた抄録を拝読しました.
障がい,治療理論,職種の違いを超えて子供と先生,親が自ら変わっていく報告でした.
子どもに対する作業療法の新しい当たり前を,参加者全員で創る機会になるでしょう.






最後になりましたが,
急性期,回復期リハ,地域生活移行支援には学会長の澤田辰徳さん,
上肢機能と子どもには学会理事で神奈川県立保健福祉大学の友利 幸之介さん,
精神と在宅・入所には学会理事で吉備国際大の籔脇健司さんもファシリテーターします.

私はこの3人を信頼も信用もしていますが,それは友人だからではありません.
理想と現実を結びつける先駆者としての絶え間ない実績があるからです.
私たちに何ができるかを時に導き,時に背中を支えてくれます.





人は自分の意思で,自分の手と頭と心を使って体験すると,
自分と社会を知ることができる.
そこから自分と社会をより良くしようと始めることができる.
私はそう考えています.






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2014/11/16

祖母が生きている時に作業療法をやりたかった

先日,お前は職場でどんな仕事をしているんだとお袋が尋ねたので,
10年おでんを観せた.
高齢者にとって最高に理想的な施設だなとつぶやいた.

浦添市で独居していた祖母は70代で沖縄市の軽費老人ホームに入居し,
2年後には併設の特養ホームへ移って6年間暮らした.
それから那覇市の特養ホームへ移り,さらに8年間を施設で過ごした.

お袋は週に4日,1日8時間通い詰めて介護をしながら,家族会の会長を務めてた.
ボクはその間に高校生から作業療法専門学生,そして作業療法士になっていた.
独り暮らしを始めてからは,数ヶ月に1度くらいしか祖母の面会にいかなかった.


どこかに連れて行こうと考えたことはなかった.
何をして欲しいと願っているのかと聴いたこともなかった.
職員に望みを聞かれたことはなかったけれど,答えることもできなかっただろう.

親父との生活は家族でも苦行なので,祖母との同居どころか外泊さえ選択肢になかった.
人見知りが激しいせいで,施設内での友人が数少ないことも知っていた.
罪悪感や無力感に似た気持ちで面会へ行き,食事介助をして帰ってきた.

庭木が冬に向かって少しずつ葉を落としていくように,祖母の身体と脳は衰えた.
言葉を失ってからは,虚ろな瞳の祖母の手をただ握って面会の時間を過ごした.
自然な老いだと感じていたし,特別な支援や訓練が必要とは思わなかった.


深く大きな褥瘡を治療するため入院を繰り返し,その度に関節拘縮と筋力低下が進んだ.
肺炎で入院中に胃瘻を造設されて施設に帰ってきたので、お袋をひどく責めた.
死んでもいいんですか,と医者に言われて断れなかったと聞き,何も言えなかった.

お袋はひとりで選択せざる得なかったし,もし相談されたらボクも悩んだはずだった.
何が正しいかわからないまま時は流れて,ある夜に前触れもなく亡くなった.
前夫との子も連れて3人の子供を,30代からひとりで育てた祖母は永眠した.

通夜で1時間ほど顔を動画撮影したが,動きがなかった.
生きている時に撮ればよかった.

話せばよかった,聴けばよかった,連れて行けばよかった,観せればよかった,
食べさせればよかった,聞かせればよかった,会わせればよかった.





厚生労働省老健局老人保健課「高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会 (第2回)」平成26年10月15日 資料2-1資料2-2より抜粋

通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションの実施内容は「筋力トレーニング」が86.6%、「関節可動域訓練」が74.2%、「歩行訓練(屋内)」が71.2%であった。「排泄・入浴などのADL訓練」は8.2%、「社会参加訓練」は2.2%であった。 

通所リハでは維持の割合が多く、通所介護では、通所介護に通うという社会参加を短期目標としているところが多かった。いずれも、「地域社会への参加」を設定しているケースは非常に少なかった。

身体機能については、本人の52.2%が良くなると思っている一方、リハビリテーション専門職は20.7%が向上すると考えていた。日常生活活動については、本人が50.5%で、リハビリテーション専門職は15.6%が向上すると考えていた。社会的活動については、本人が32.5%で、リハビリテーション専門職は8.2%しか向上すると考えていなかった。

問題の所在:個別性が重視されず、画一的なリハビリテーションが実施されている
論点:①日常生活や人生の過ごし方について利用者の意向が引き出せていないのではないか,②リハビリテーション計画がプログラムを決めるだけに形骸化し、PDCAが実施されていないのではないか

問題の所在:具体的なプログラムの策定で、身体機能に偏った内容になる
論点:①実施するプログラムの内容が身体機能訓練を中心に実施することを前提としているのではないか,②社会への復帰や在宅での自立した生活を向上させるために、どのようなリハビリテーションをどのような専門職で提供することが効果的か理解されていないのではないか(※リハビリテーション専門職という言葉で、移動などの基本的能力を高める理学療法士、活動と参加能力を高める作業療法士、言語聴覚と嚥下摂食を改善する言語聴覚士が一括りされている)

問題の所在:①高齢者の思いに焦点を当て、本人の積極的参加を促すアプローチが実現できていない
論点:①高齢者の思いに焦点を当て、本人の積極的参加を促すための技術が具体化・体系化されていないのではないか





祖母が生きている時に,意思疎通が可能な時に,作業療法をやりたかった.
今なら祖母と自分にとって大切なことを発見して,職員や家族と共に実現できる.

作業療法をやりたい人のために、
日本臨床作業療法学会は始まりました。
第2回 日本臨床作業療法学会 学術大会演題受付の締め切りはもうすぐ.


2014/09/22

リーダーとマネージャーとカリスマ

4才の娘が言う.
「パパはもっと大人になったら,何になりたい?人間それとも動物?
動物ならクジラね.人間ならサッカーボール屋さん.どっちがいい?」

「・・・せ,選択肢が少ないね.どっちかと言えば人間かな」

もしサッカーボール屋さんになったら,ボール作りを通して社会に貢献する勉強会とか発起するだろうね.効率化勉強会と技術向上勉強会の板挟みになったりしそう.やだよ,めんどくさい男だねと思うけど,仕事を楽しみたいんだよねぇ.






9才の娘が学級長に立候補して,プレゼンで候補4人の中から1位になったとか.
おまえは何がおもしろくて責任を背負うんだよって聴いたら,
「人のためになるし,やってみたいなと思ったから」と答えた.

でも決まりを守らない人に繰り返し注意をするから疲れる,と彼女が言う.
細かいことに目くじらを立てるなよ,とボクが話しても納得しない様子.
経験を通して理解できることだけど,ちょっと聴いてくれよ.

まずね,リーダーとマネージャーと人気者(カリスマ)は違うからな.
人気者はみんなの話をよく聞き,期待に応える役割なんだよ.
マネージャーはグループがちゃんと動けるように管理する人な.

でね,リーダーはみんなが気がついていないけど,
本当はやりたいと思っていることを誰よりも先に見つけて,
その目標に向かってみんなが行動できるよう手伝う人なんだよ.

目標はみんなも気がついていないことだから,
リーダーは時に厳しいと思われることを言なけきゃいけないし,
見えないみんなからは嫌われることもあるんだよ.



リーダー,マネージャー,人気者はどれが優れてるとか正しいとかで考えない.
それぞれ必要な仕事で,何をするグループかによって必要の程度が変わるんだよね.
おもしろいのは,誰もがこの3つの役割を持っているということ.

10のうちリーダーが6,マネージャーが3,人気者が1の人もいるし,
リーダーが1,マネージャーが2,人気者が7っていう人もいる.
しかもね,同じ人でも入っているグループによって役割の割合が変わるんだよね.

たとえばね,グループといってもクラス全体だけじゃやなくて,
体育員とか生き物係とかでチームに分かれるでしょ.
それから学年全体の役割とか学校全体の役割もあるわけよ.クラブ活動とかもあるさ.

グループの目的によって必要な役割は変わるんだけど,
その人の得意とか向いているっていうのもある.
メンバーの雰囲気とか役割の何かが特別に得意な人もいるから分担するわけよ.

あ,そうそう.得意とか向いてるっていうのは変わるんだよ.
責任ある役割をやっているうちに育っていくものだけど,
時期とかグループの雰囲気で変わり方が違ってくるんだよね.

大事なことは,自分が今やっている役割を自覚すること.
良いとか正しいとかではなく,知っていることが大事なんだよ.
わかっていれば修正できるからね.改善できる能力が他の何より大事なんだよ.


話を戻すよ.
リーダー,マネージャー,人気者に共通する大事なことがあって,
グループメンバーの能力を引き出すことなんだよね.

問題が起った時に解決しようとがんばる時に,能力が開くんだよ.
それを促すのが内的報酬っていうんだけど,やりがいとか楽しみのことね.
・・・こっからがおもしろいんだけど,聴いてるか?

まぁ,そのうちまた続きは話すよ.とにかくさ,もっと広く長い目で考えれよ.



パパはもっと大人になったら,やっぱり人間がいいなぁ.
クジラがコミュケーションする時の音をクジラの歌って呼ぶんだけどね,
パパさ,ひどい音痴じゃん.恥ずかしいから永遠に黙っていると思うんだよねぇ.

それはそれで,しあわせだろうけどね.


2014/09/05

日本臨床作業療法学術集会の演題応募が始まりましたよ

作業に焦点を当てた作業療法の実践は,恋愛に似ている.
恋愛を経験をしたことがない人に,
恋愛の苦しさと喜びを伝えることは難しい.


tomoriくんも紹介してくれましたが,学会の演題応募が始まりました.
 → 日本臨床作業療法学会HP
航空チケットとホテルを予約している方がいましたので,仮の日程を公表します.




分科会のセッションは各定員が20〜50名で,演題応募者が優先的に参加できます.
つまり演題応募者が定員を満たした場合,一般参加者は応募しません.
閉鎖的と言われるかもしれませんが,演題応募の機会は誰にでもあります.





分科会には90分の講義が3コマあります.
これはファシリテーターによるプレゼンを予定しています・・・今から依頼しますが.
講義のスケジュールは企画によって時間帯や場所を変更することご了承ください.

このメンバーならグループ・プロセスを冷静に観察し,力強く援助するでしょう.

ファシリテーターを決めてからセッションを決めたぐらいに,魅力的なメンバーです.
他を否定せずに,信念と技術を伝える人たちです.
理論や技術を開いた数多くの先人たちに敬意を払いつつも,新しい道を探せるOTです.




ほんとうは研究,認知症,訪問,専門教育のセッションも予定していましたが,
会場の都合で上記の7つに絞り込むことになりました.
本大会で見送ったセッションも,いつか別の機会で企画したいです.

参加者は受け手ではなく,共に新しい常識を創る仲間として出会って欲しいです.
問題を新たに創り,解決へと挑む関係になることを期待しています.
私たちは同じ悩みを抱き,考え,行動してきたのですから.

演題募集期間
平成26年8月5日 ~10月31日
詳細についてはこちらのページよりご確認ください.

大会宣言

これは,あなたの作業です。
自分が大切にしていることを
大切にしましょう。
できないことは,やめてください。
本当にやりたいことを,やってください。
変えたいことがあれば,変えましょう。
人と作業と環境は変えられることを,
私たち作業療法士は知っています。
やるべきことは,シンプルです。
自分が大切にしていることを
肯定する人と共有してください。
彼らが大切にしていることも
自分のことのように聴いてください。
そして,自分にできることを探してください。
恐れずに,新しいことに挑戦してください。
自分にとって何が大切か,思い出しましょう。
自分と彼らにとって大切なことが,
当たり前になる環境を
共に創りましょう。



2014/08/25

平成27年度の介護保険を読む


1.株式会社日本総合研究所
介護サービス事業者による生活支援サービスの推進に関する調査研究事業
要支援者の自立支援のためのケアマネジメント事例集

「要介護化の原因として閉じこもりを取上げるが、その人が社会から孤立しがちで閉じこもった生活を送るかどうかは、その人のいわばライフスタイルにかかっていることが多く、そのような場合に“生きかたを変えてもらう”のは容易なことではない。その背後には、その人の長年の生活習慣、生活観、価値観、人生観などが潜んでいるからである。自立支援型ケアマネジメントを実践しようとすれば、要支援こそ難しいとみるべきなのである」

「これらの課題の解決に向けて、水分や食事の適切な摂取のための声かけ、通所サービスにおける運動プログラム、作業療法士の自宅訪問による住環境アセスメント、地域での仲間づくりなどの支援を実施した。これらの支援の結果、体調の改善や運動習慣の定着などにつながったケースや、通所サービスの卒業後もボランティアとして参加して互助的な生活支援サービスにつながっているケースも見られた」

私見メモ:平成29年度から始まる新しい総合事業に向けての準備と思われる.虚弱,独居,要支援の高齢者支援のため介護保険以外の資源を活用する計画だが,どの専門職が介入するのか予測する必要がある.作業療法士は強みを活かせるかもしれないが,そのためには根拠を示さなければいけない.地域で活躍している作業療法士が多くない現状では,情報と成果を集めるのに時間がかかりそう.おそらくすでに協会は動いていると思う.


2.株式会社日本能率協会総合研究所ヘルスケア研究部
平成25年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助事業
地域における生活支援サービスのコーディネーターの育成に関する調査研究事業報告

「地域における環境整備においては、市町村が中心となって、地域のニーズと地域資源のマッチングなどを行うコーディネーターの配置や協議体の設置等を通じて、生活支援サービスを担う事業主体の支援体制の充実・強化を図ることが求められている。また、市町村における生活支援サービスのコーディネーターの配置にあたっては、研修カリキュラムやテキストの整備を通じて、全国で一定の人材水準を確保することが重要と考えられる」

「コーディネート機能の必要性は以下の通り.高齢者等がサービスの担い手となるよう養成し,支援を必要とする高齢者の支援の場につなげる.生活支援サービスを行う事業主体間のネットワークを構築する.地域ニーズと地域資源のマッチング.多様な関係主体間の定期的な情報共有や連携・協働による取組を推進」

私見メモ:施設ケアマネ不要論が議論され,地域担当者会議の簡素化に向けて進む中,新たなコーディネート職を創り出そうとしている.どのような条件を満たせば参入できるのかを見極め,今後どこまで役割を担うのか予測しながら対応を考えたい.


3.独立行政法人国立長寿医療研究センター
平成25年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助事業
高齢者の自立支援に向けた身体活動向上のためのポピュレーション・アプローチの方法に関する調査研究事業報告


「①身体活動量のモニタリングを 3 軸加速度センサー付き身体活動測定装置 (活動量計) によって行い 、 評価システムを開発する.②結果フィードバックを地域薬局で実施し 、 薬剤師のカウンセリングを受けることで身体活動量の向上のための継続した取り組みが可能なモデルを構築し、 その効果を検証する。 このモデルが確立出来れば、 安価で実施可能なポピュレーション ・ アプローチの具体策を提示することになり、 国庫補助協議を行うにふさわしいと考える」

「ベースラインの歩数、中強度以上の身体活動、および座位行動を従属変数、性別、教育年数、認知機能、抑うつ状態、主観的健康度、日常活動能力(NCGG-ADL)、歩行速度、握力、および椅子立ち座りテストを独立変数とした t 検定と、年代を独立変数とした分散分析を行った。また、t 検定およびの分散分析は対象者全体の分析とともに、年代および性別で層化した層別解析を実施した」

私見メモ:介護保険サービスの質的評価を見直すつもりかもしれない.要介護度ではなく活動量を客観的に測定しようとする試みは,今後さらに増える可能性がある.参加,活動レベルでの変化を目標としている作業療法士は,社会に貢献できる機会かもしれない.


4.一般社団法人日本リハビリテーション病院・施設協会
平成25年度老人保健事業推進費等補助金事業
リハビリテーション専門職の市町村事業への関与のあり方に関する調査研究事業報告


「リハ専門職の市町村事業への関与に関するアンケート調査:回答のあった市町村の約60%に市町村事業へのリハ専門職の関与があり、その意義や効果についても一定の評価がなされていたが、市町村に勤務するリハ専門職は少なく、派遣が必須」

「日本リハ病院・施設協会会員に対する市町村事業への関与についてアンケート調査:派遣条件としては対価報酬への期待があった。今後の市町村事業へのリハ専門職派遣については半数以上の会員は積極的な関与の意向があり、リハ専門職の資質向上や人材育成のための研修会開催が必要との要望があった」

私見メモ:リハ専門職は地域に必要とされているが,人件費と介護報酬が割に合わないと参入する施設,機関は見込めない.また,参入したとしても地域の実情ではなく病院のやり方で対応した場合,成果を出せるのか懸念もある.地域リハについての卒前,卒後教育を見直す余裕もなく.現実が迫ってきている.ADOCなどの評価ツールを活用することで,課題が軽減する可能性もあると思う.


5.公益社団法人 全国国民健康保険診療施設協議会
平成25年度老人保健事業推進費等補助金事業
リハビリ専門職の地域包括支援センターにおける介護予防・日常生活支援総合事業への関与に係る調査研究事業報告


「新しい総合事業(地域リハビリ活動支援事業)にリハビリ専門職の技術を活かすためのメニューリスト及び参考事例集(略称:メニューリスト)」として完成させた」

「運動器に関する質問項目の中では階段の昇降や歩行などの項目ではなく、転倒不安に対する項目への該当数が減少していた。これは、リハビリ専門職の介入によって望ましい動作・活動の範囲が明確になったことで、転倒への不安は解消されたものの、依然として階段昇降や歩行など実際の生活動作の改善にまでは至っていない事を示しているのではないかと考えられるが、これについては実施期間が短かったことが影響しているのではないかと推測する」

「地域の中で行う業務に従事した経験のない若手職員に対し、地域づくりの視点を教育する統一的な制度はこれまでなく、先輩から後輩への現場研修(OJT)を中心に各医療機関の工夫によって教育が行われてきているのが現状である。このような方法では医療機関や自治体の取組み姿勢によるばらつきが発生する上、時間を要する教育方法でもある」

私見メモ:みんなのリハプランと同じシステムかと思ったが,判断チャートのような仕組みらしい.地域で活躍する専門職の技術,知識レベル格差を埋めるために有効かもしれない.チャート化すると画一的な支援になる危険もあるが,チャートをベースにして個別的な支援計画を追加することで解決するかもしれない.もし作業療法士が活用するならば,作業療法の専門性を活かした目標,支援メニューが必要と思う.


6.一般社団法人 日本作業療法士協会
平成25年度老人保健事業推進費等補助金事業
医療から介護まで一貫した生活行為の自立支援に向けたリハビリテーションの効果と質に関する評価事業報告Ⅱ


「生活行為マネジメントは,対象者個々の「したい」・「望む」生活行為の把握からはじめて,それを阻害している要因を分析し,それがよりできるように支援するものである.それゆえ,機能訓練のように介護費用の削減に寄与しない終わりなきサービスとは一線を画すものであると考えられていた.しかしながら,生活行為マネジメントの使用も,対象者の24時間の生活行為を顧みず,対象者の望む生活行為のみに特化してサービスを展開した場合,要介護状態は不変であり,地域包括ケアシステムへの貢献が制限されることが明らかになってきた」

「生活行為マネジメントは対象者の望む生活行為から解決を図るというトップダウンアプローチの全体像を有しながらも,活動と参加領域では,ADLやIADLが作業参加の基礎をなすというボトムアップ的な考え方も内包することとなった」

私見メモ:方向転換というより,現実に合わせて柔軟に変化したように見える.漫然と目標も目的もない機能訓練が数年,時に10年以上も提供されてきた現状に問題はあるが,その反動で機能訓練への批判が強過ぎる感が以前はあった.今回の改変により現実的に実現できるシステムを目指そうという意思が伝わった.


7.三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
平成25年度老人保健事業推進費等補助金事業
地域包括ケアシステムを構築するための制度論等に関する調査研究事業報告


「高齢者の自己決定においては,高齢者を取り巻く環境も大きな影響を与える.例えば,住み慣れた地域での生活の継続を望む高齢者がいても,その生活を支える体制が地域の中に構築されていなければ,本人の本当に望む選択は行えない.また,体制が構築されていたも,サービスやサポートの組み合わせ方や効果的な利用方法が高齢者本人に伝わっていなければ,適切な選択は難しい.つまり,高齢者の尊厳の保持のためには,その意志を尊重するための支援体制の構築と適切な情報提供,意思決定支援が必要である」

私見メモ:この資料はまだ読みかけなので何とも言えないが,この提言に納得した.言葉で説明できなかったことを,わかりやすく表現してくれている.人的環境が高齢者の意思決定に強い影響を与えているのは,良くも悪くも事実だと思う.


2014/08/05

理想と現実

むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、ゆかいなことをいっそうゆかいに
井上ひさし


先日,ついに齋藤佑樹さんの講演が沖縄で実現した.
齋藤さんの話は伝統的で難解なことを軽快に伝える.
軽快ではあるが,軽薄ではない.
臨床で積み重ねた葛藤と誇りが垣間見えるから,言葉に重みと厚みがある.






たとえば,
効率的で効果的なフットボール戦術を知っている人が,
必ずしもサッカーが上手いとは限らない.

ボールを蹴る運動力学やフットボールの歴史や文化を知っている人が,
サッカーが上手いとは限らない.
サッカーをやっているとすら限らない.

また,一流プレイヤーが指導者として優れているとも限らない.
ゲームの流れを読み取る感覚は鋭くても,
他の誰かに伝えることが優れているとは限らない.






齋藤さんのメッセージは,理想と現実を結びつけようとしている.

理論を知らないのは計画性に欠けており,成りゆき任せで責任感が伝わらない.
実践にこだわず理論を追い求めるあまりに,現実から加速度的に離れてゆく.
という批判の応酬は聞き飽きた.

理論か実践かという二極論ではなく,
どっちでもイイじゃんという薄くて浅い結論でもなく,
現実的に実現可能な方法論を般化しようと努める過程にこそ,未来がある.


理想と現実を結びつける.

それは理想かもしれないけれど,
誰もが求めている現実でもある.








11月,福岡で現実と理想を結びつけたプレゼンをします.


2014/07/23

地域作業療法の専門性

作業療法の専門性を問う必要があるか?医療,介護,地域では答え方が少し変わってくるのではないかな.今回は地域について考えるけど,個人的な結論から言えばYes.

地域で働く作業療法士と対話をしていると,作業療法の専門性にこだわる必要があるのかと彼らに問われることがある.その時,2年間だけ支援費制度の支給額を決定する市町村の審査会に参加した頃を思い出す.メンバーは医師,ケースワーが中心で,圧倒的な知識と知恵を目の当たりにした.今まで自分は狭い世界で仕事をしていたんだと思い知った.


作業療法士の専門性をアピールすることが,地域で活躍するための土台作りだという重圧もあった.必死になって何とか意見を伝えようとするほど,どうしても疾患や症状に限局した話題を選択しがちだった.目的と目標が生活や人生構築から離れてしまい,ひどく自己嫌悪した.手段が目的化しているなと自覚していた.


作業療法士を地域に送り出そう!という声は年々大きくなっている.しかし,地域に送り出すことが目的ではないよね.あくまで手段であって,目的は社会貢献にあるはず,というよりあるべきだと思う.貢献するためには専門性を追求する必要があり,必然的にセオリー(理論)を追求するのではないかな.でも,やはり同じく学ぶことが目的になってしまうことがあって,目的を確認するために立ち止まることが度々あった.


地域で働いている作業療法士に,自分を守るため排他的になっていないか?と言われることが不安だった.そんなことやっている間にも地域では悩み苦しむ人々がいるんだぞ,と言葉よりも物語る目で見られている気がした.自分が仕事のやりがいを感じるために,社会から認められるために能力を誇張している可能性はないかと問われる気がしていた.


母親は精神疾患のために自分の生活管理が厳しく日中は精神科デイサービスに通い,父親は重度の片麻痺で万年床で過ごす生活のため自宅は足の踏み場のないほどにゴミで溢れ,祖父は重度の認知症でデイケアに通い,知的障害のある娘はコーラを飲むために作業所で利用者や職員に100円で身体を売り,叔父は巧妙に生活保護費を奪い続ける.

役所で毎月10件ほどのケースを審査したが,すべてが過酷な現実だった.地域で働いている作業療法士が直面している日々を垣間見た気がして,彼らの言い分がわかる気がした.






他にやることがあるだろ問いたくなる気持ちもわかる.でも制度の隙間からこぼれた落ちた人々に対して,医師やケースワーカーたちは専門性を放棄しているだろうか?いや,それは違うよね.医師らはあらゆる手段で複数の制度を組み合わせてセーフティーネットを築いていたが,医療的な知識も活かしていた.


自然災害で混沌とした状況の場合,料理人や農家,漁師,建築関係者,医療職,役所職員,教職員,不動産屋,銀行員などの職種に関係なく復旧活動に取り組むだろうと思うし,それが最良の選択だとも思う.でも,復旧が落ち着いてきた頃にはそれぞれが得意とする知識や技術を活かして働いた方が,生産と消費がより早く広く回り続けるだろうと思う.それが社会の仕組みだとするなら,専門性を高めることは専門職のアイデンティティのためというよりは社会のために必要不可欠な選択かもしれない.(ここが一番大事だったけどまだ自分の理解力が低い)


専門性を追求して活用してもらえるようにアピールすることは社会にとって利益があり,しかし同時に伝えるという手段が目的に変わり易いことを自覚する.その上で,専門性について学びを深めることは社会にとって価値があり,結果的に専門職もやりがいを感じる機会になるかもしれない.この場合,自覚と順番が重要なキーワードになる・・・ように思う.これを誤ると手段と目的が混同するんじゃないかな.

Amazonのリンクの張り方がよくわからんなー





2014/06/24

WFOTと琉球OT

世界作業療法学会も終わって,
育児と家事もようやく落ち着いた.
「楽しかった,自分の小ささを知りました,ありのままでいい」
すべてで,ひとつだったように思う.

ポスター発表をざっと見て,同じようなコンセプトとツールを開発した人は,
世界中探せばやっぱりいるんだなと思った.
でも,似てるじゃないか,と突っ込んでいる人はいないと思ったし,
それで困るのはYouTubeとクックパッドくらいだったので笑,
朝から気楽に会場をフラフラしていた.で,初日に発表.








ADOCが完成した時,人間作業モデル講習会で山田講師に,
「おもしろいツールを開発したんですよ,これでストーリーを引き出して,
MOHOで解釈するとハッキリわかることがあると思うんですよね」とか,
作業科学セミナーでRuth Zemke先生に,
「作業の概念をわかっていないと言われるかもしれないんですけど,
実践的には役立つと思うんですよね,どう思います?」などと質問をした.

今回はみんなのリハプランを海外に紹介するチャンスだったんだけど,
ポスターを見に来てくれた数少ない海外の方に対してボクは,
「プリーズ,あー,ヒーが紹介しますよ」とか言って.
友利くんと澤田さんに丸投げしちゃった笑.

意見交換できる機会なのに,挑戦できない男だなとガッカリはしたけれど,
だからボクは使えない人間だとか,日本人はダメだと卑屈になることはなかった.
たぶん,チャレンジした数と怒られた数なら世界トップレベルだと自信があったし,
その上で「知り合わなければ,自分で人生を変えれると気づかなかった」という,
多くのクライエントの言葉を覚えていたからだと思う.








そんな傲慢なボクでも,
仲間知穂さんらADOC for Schoolチームの積極的なプレゼンを見て,
これくらいやらなきゃダメだと反省した.
続々と集ってくる海外の方を前にして全く腰は引けず,
「自分たちは子供と親と教員のために,できる限りの貢献をしたい!」と,
つたない英語で粘り強くメッセージを送り続ける姿は,感動的ですらあった.

しかも,小児系の口述発表会場で,
「課題は目標設定と共有だ」と締める海外のプレゼンターが多かったから,
ADOC-Sの資料を持って会場内で発表者らに今井くんとプレゼンを始めていた.
「私たちはあなたたちの課題に貢献できる可能性がある!」と回ってると聴いて,
仲間さんたちが築いてきた実践経験が自信を育んでいるんだなと再確認できた.

出身校や地方在住であることを引け目に感じている人は多いけど,
どんな田舎にいたって,どんな職場環境だって,どんなに若くたって,
何をしてきたかで人は自分を信じられるんだなとも思った.








他にもADOC関連のプレゼンが続々.
なんて自信たっぷりな顔なんだー
でも,その過程にある悩みと苦労を知っているからこそ,
より強く伝わるなー







学会恒例のADOC飲みは46名!
ADOCが学会に登場した仙台学会が4年前?かな,
その時は友利くんと2人だったのになー笑

全国各地にこんなに頑張っている人が,
こんなにいっぱいいるんだなーと,
しみじみと・・・しみじみとした苦労と喜びが伝わった気がした.
仲地くんもね,あんまり知らないけど,トントン拍子ではないハズだもんね.







・・・もう眠い.
友利くんはOBPの経済的効果,QOL効果で,
思った通りに評判が良かった.海外の人たちの目がマジだったもん.






で,日本とはいえ,国際学会だったので,
竹林崇さんがやってること,効果はやっぱすごいんなだと,
あらためて知ることになった.これはまた別の日に記事に書くことにして・・・

理論と実践を結びつけるのは緊縛の課題であることは,
理論が誕生した時から逃れようのない事実として誰でも認識できると思う.
そこから目を背けないことを延長すると根拠に基づいた治療は必然的なので,
彼が追求していることを臨床家が求めるのは自然な過程だと再確認.

まぁ,海外は保険制度がわからないし,
海外の保険制度下で働いているOTを偉いと根拠もなく盲信していたころの自分は,
まったく何も見えてなかったなーと思った.







ADOCのMMSEカットオフ値というよりは,
認知症高齢者に意思決定の過程を求めることは否かどうかというテーマのプレゼンに,
人が集るのは不思議なことではなく,
誰がきても堂々としている齋藤さんに臨床経験の背景を垣間みた気がした方が,
むしろ再発見で嬉しくもあり・・・















仲間知穂さんの実践は世界のOTを変える可能性があると,
アン・フィッシャー先生が紹介した人がESIのロー・アン先生で,
作業療法の可能性についてディスカッションしている隣で昼間から酒を呑み・・・







医学書院さんとの会食では,
ぜったいに個人では訪れることのない高級すき焼き屋で日本酒飲み過ぎても,
次回作の企画についてマジメにディスカッションして・・・







養成校時代の恩師に偶然出会って学生の頃みたいにフィードバックもらって,
「あんたはまず髪を切りなさい」という言葉だけを胸に抱いて・・・







日本臨床作業療法学会で何をするべきかが,
やっと見えて,それを実現するための方法について議論した.

日本という島国でも,理想と現実を誠実に結びつけようとしていたら,
海外からの評価を気にせずに真摯にやっていれば,
それが評価された時にはいっきに日本に広がっているだろう.

まずは目の前の仕事を丁寧にコツコツと高いレベルで求めようと,
誰がみても認めざる得ない結果を追求しようと心に決めたのです.


2014/06/15

どう教えるかよりも,作業療法の何を教えるかだよね

今日は日曜だけど事務所の日直当番.出勤してすぐに,隣接する高齢者専用マンションから「来て欲しい」と電話があった.何が起ったのか話すよう促すと,「寂しい」と返ってきた.事務所に足を運んでもらって15分ほど話を聴くと,「落ち着いた」と帰った.遠くの方で「本田がゴールを決めたー!」とテレビが叫んでた.

ボクがゴールを決めた状態とは何だろうと考えた.よく話を聴くことは大事だね,と完結するのはあまりに雑過ぎる.彼女と施設が抱える根本的な課題を明確にして,作業療法士の知識と技術を使って貢献できることを考えた方がいいのかな.この思考過程こそが,実習生へ最も大事に伝えるべきことだと思う.



tomoriくんめがねOTさんの日記がおもしろかったので,リレーします.



近年,実習でレポートを課さない病院,施設が急増してきた.効率性と効果を考えると喜ばしい進展だけど.レポートを義務づけないことで問題解決したと思い込むセラピストがいないかと不安になる.教育方法は大事だけど,教育する内容ほどではない.その内容とは作業を大事にする実践で,OT協会や世界作業療法連盟も強調している.

教員だったころ,県外のベテラン実習担当者から「学生がICFでレポートを書きたいと言っているが,自分はICIDHしか知らない.病気が治ればADLが向上し,退院できるという考えでもイイか」と電話があった.「作業療法のことは私が教育しますので,病気のことだけ教えてください」と丁重に伝えながら,この人も葛藤しているんだろうなぁと思った.

作業を大事にする実践を学生に伝える上で難しいのは,自分がうまく実践できていないという自覚.今だってボクにもある.学生と望ましい結果を始めに共有してからスタートした方が効率よく教育できるけど,筋緊張ではなく習慣をターゲットにしているので思い通りにいかないこともある.でも,結果に辿り着くまでの過程で発見できることもある.








だからこそ,難しい,悩ましいと言いながら学生と一緒に考える.「釣りに行きたいって言ってたさね.じゃあ,連れて行こうかっていうと,それは違うじゃん.あの人が行きたい海に,行きたい時に,一緒に釣りがしたい家族や友人と行けるようにならないと支援にならないよね.でもさ,それって現実的かな.いや,オレが勝手に限界を決めてるだけかな,そもそも釣りである必要があるかな.いや,釣りじゃないとダメなのか.あぅあぅー迷うぅ.もっと本人から話を引き出して,家族からも情報集めたらゴールが見えるかもねぇ」と,一緒に考える.

習慣化を目的にする必要がない場合もある.ゴールがどのような形であれ,選択した理由に利用者と関係する人々にとっての価値がある.

「ボクら作業療法士は,特定の人々との関係の中で築かれてきた,個人的な意味と目的がある何かすることを作業と呼ぶ.作業活動で治療を行う人というよりは,相手が自分で作業ができるように支援する人なんだよ」こうして体験を通して学生に伝えることが,作業療法の強みを活かした臨床教育だと思う.


迷う時,自分と学生に伝える言葉がある.
「答えが見つけられないことは,苦しい.楽になりたければ,クライエントよりも自分が興味のあることに没頭すればいい.自分で考えずに他人から期待されているまま,訓練のための訓練をやればいい」

「楽しい!を手に入れたいなら,悩ましい!を覚悟しなくちゃ」


(支離滅裂な構成だなぁ.でもなぁ,考える過程をオープンにしようって書いた記事でもあるから,公開しちゃうか.無責任かなぁ.かわいいから許されるかな,そうだね)

2014/06/06

意思疎通が困難なクライエントと作業療法

4年前に就職した時,同僚の作業療法士から業務の申し送りを受けた.
特養ホーム利用者100人と通所介護利用者60人をマッサージ師,看護師と担当し,
作業療法士が入所と通所を合わせて毎月約40人分の機能訓練計画書を作成していた.

しかも,評価用紙は介護保険管理ソフト,Excel,ファイルメーカーで各々作成し,
3ヶ月毎に特養ホーム入居者の家族に計画書と同意書を手渡しながら面談していた.
20分前後の面談が100件近く入るので,その月は面談以外の業務はできなかった.

その合間も160人に対して機能回復のための訓練をマンツーマンで求められていたので,
「・・・・もしかして,影分身の術が使えるタイプですか?」
というのが就職初日に伝えた彼女への感想だった.



1ヶ月後,家族面談に参加してわかったことがあった.
家族は多くが50〜60代だったが,
「利用者さんの趣味は何ですか?」と尋ねても答えられない人が多いということ.

「親は家事と育児で忙しい人だった.趣味をやっている姿をみたことがないし,
家を出てからは親が自宅で何をして過ごしているのかよくわからない」と答えた.
なるほどねと納得したが,記憶の引き出しを探せば何か見つかるはずだとも思っていた.

「おひさしぶりです,リハビリテーションを担当している作業療法士です.
前回からの変化について報告しますが,その前に教えて頂きたいことがあります.
私たちは機能訓練を実施しますが,目的と目標がわかるようにしたいと思っています.








意思疎通が可能な方なら一緒に目標を決めることもできるのですが,
難しい場合は私たちが知識と経験を基に考えます.
でも,どうしても画一的なレクや訓練になってしまいがちで,不安になってしまいます.
関節の広がりや筋力が維持できたとして,それだけで良いのかなとも思います」


「機能回復が難しい場合もありますし,
私たちが提供する訓練というのも非常に短い時間です.
心身の機能維持は私たちの成果というよりは介護士の働きによるものです.
意思疎通が困難な方でも全員,毎食必ず車いすに乗ってもらうのは,
時間とエネルギーがかなり必要です.

ベッド上で栄養を注入する病院が多いですし,特養でも珍しいことではありません.
車いすに乗る機会があるからこそ,
関節と筋力と意識が保たれていると私は思っています」

「オムツで対応できることをトイレに誘導することも,
胃瘻で済むことを本人の能力を引き出しながら食事介助することも同じです.
このことは,よく覚えておいてください」

「それで保たれた身体的な機能を使って,頻度は少ないかもしれませんが,
本人だけの生活や人生に関係する機会を提供したいと全員が思っているわけです.
たとえば,個人的に思い入れのある場所や人と再び関係する機会を,
離したくないと願っています.







その機会のための機能訓練をしている,ベッドから離れた生活支援をしている,
と思えれば,私たちも不安なく継続することができると思うのです」

「本人と家族の期待する生活が必ず一致するとは限らないです.
でも,私たちが考える本人の希望よりは近いだろうという判断です」

「ということで,利用者さんの趣味は何ですか?」
「イメージが難しい場合は,ADOCのイラストを確認してください」



来週から特養ホーム入居者家族との面談が始まる.
分身の術をまだ習得できていないので,活動の規模と回数を一時的に減らすけれど,
それだけの価値はあると期待している.ここから始まる支援があるハズ.



2014/05/28

スペシャルな技術を持ったゼネリストになろう

竹林崇さんはスペシャルな技術を持ったゼネリストだった.上肢機能というよりは退院後の生活に焦点を当てているので,必然的にマネジメントを重要視していた.スペシャリストは職人で守備範囲は狭く,他の追随を許さない専門技術が絶対的な武器になる.ゼネリストはオールラウンドプレイヤーで,最低限の専門技術と高いコミュニケーション能力が武器になる.


医療ではスペシャリストが求められ,介護ではゼネリスト寄りのスペシャリストが,地域ではゼネリストが求められる,と個人的に思っていた.でも,竹林さんと話をしているうちに,領域に関係なく求められるのは,スペシャルな技術を持ったゼネリストだろうと考えるようになってきた.


急性期、回復期は病院完結ではなく、退院後の生活の質が高まるように求められている.今はまだ具体的ではないけど、これからは情報交換だけではなく、切れ目なく支援が提供できるよう、具体的な支援の内容についても求められてくるはず.筋緊張の程度やADLの介助量ではなく,生活に影響を与える支援の実践と報告が義務づけられるかもしれない.


また、通所施設においては単価が高くアウトカムについての算定条件が厳しい小規模短時間の機能訓練型、現在の通所介護施設における機能訓練加算Ⅱが標準的サービスの自立支援型、従来のサービス内容でレクリエーション型に機能分化されると思う.デイサービスとデイケアの違いについては医師の既得権益が関係してくるので,よくわからない.


このような環境の中で求められる専門性を考えた結果,経験年数や年齢に関係なく,作業療法士はスペシャルな技術を持ったゼネリストとしての役割を社会から期待されていくだろうと思う.まあ,作業療法士だけの話ではないかもしれないけど.





↑ 5時間の講義中に10分間の休憩があったけどその間も質疑が絶えず,疲れきっているはずなのに爽やかに手取り足取り教え伝える男


沖縄臨床作業療法実践研究会の主催で,2014年5月24日に兵庫医科大学の竹林さんによる上肢機能訓練の講習会を沖縄の大浜第一病院で開催した.参加者はPT2名,医師2名,OT90名という異例の参加者数だった.印象に残ったのは3点.


1.麻痺手の予後予測に対する正しい理解
2.行動変容を意識した機能訓練と細かな難易度調整
3.Transfer packageにおける問題解決技法の重要性








この3つは作業療法士の行動変容を促進する場合も有効な方法だと思い,自分が作業療法を提供されている気分になった.できないという思い込みから脱却するために根拠を追求,習慣的に行動できるという目標に向かうための細かい段階付け.そして,自分の中にある既存の価値観と新しい価値観のギャップを分析し,二者択一いうよりはベストな選択を模索する過程で得られる思考パターンの獲得.


「さぁ,君は何のために,誰のために,どう変わりたいんだ?どのような社会に変えたいんだ?どうやれば実現できると思う?実現したかどうかは何をもって判断する?目標が決まったなら確実にできることからまずやってみよう,それは君が決めたことだろう,変えると決めたのは君なんだろう」


と彼に言われている気がして,うぉぉぉお,おれはやるぞー!という気持ちになった.これこそが,スペシャルな技術を持ったゼネリストの技だなぁ.知識と技術を与えるだけではなく,行動変容できるようにマネジメントすること.どの領域,病期においても作業療法士に求められる専門性だと再確認できた.根拠もなく仮説の仮説をするなよと言われそうなので,ここまで笑.



2014/05/08

臨床実習生の君たちへ

学校では覚えろと言われて,臨床では考えろと言われるよね.
まずやってごらん,とよく言われるでしょ.
行動を観察しなければ,課題と強みがわからないからだよ.

学校で習ってませんって答えると,あきれた顔をされるでしょ.
習ったかどうかなんて,どうでもいいんだよ.
まずやってみること.やってくれたら修正できるよ.

サッカーとかギター,車の運転,料理と同じことね.
ミスをしない完璧なやり方を頭で覚えるまで実践しません,
なんて宣誓する後輩や新人バイトがいたら,ローキックしたいでしょ.









それから,ホウレンソウをちゃんとしろって言われるよね.
野菜のことじゃないんだよ,報告・連絡・相談のこと.
何を,どのように,どれくらいの頻度でやればいいの,と迷うでしょ.

何かをする前に必ず意見を伺いに来いと言われたり,
イチイチ細かいこと聞きにくるなとか言われるよね.
マニュアルをくれって思うでしょ・・・ないんだよ.

空気とか距離感なんだよね.伝えにくい感覚なんだ.
場の雰囲気とか好みもあって,ファッションに似てるね.
社会にもおかしな大人はいるから,大目にみるよ.
その態度と発言にイラってする人がいるかもよ,くらいは伝えるさ.









ボクらは君らの良いことは伝えやすいけど,
修正した方がイイかもしれないことって伝えにくいんだよ.
人を傷つけるかもしれない言葉を口にするのって,ストレスなんだよねぇ.

君らに率直な助言をする人がいたら,本気で応援してくれる人だよ.
たまに空気が読めないだけの人もいるけど,少ないよ.
助言したとしても全部は伝えきれないから,行間から推し量って.


・・・ボクらだって色々と悩ましいんだ.
決定権と手当はないのに管理業務っぽいデスクワートと会議はあるし,
家に帰れば子供に早くご飯を食べろ,宿題やれと7回は言わなきゃいけない.

だからといって,ボクらの状況と心情を察してくれ,とは言わない.
でもね,心ここにあらずという顔をしている日があったら,
誰かの部下であり,親でもあると想像してみて.ただの人なんだよ.




臨床の教育を担当するボクらは,教育学を知らない.
個人差が大きくて,教え育てることがヘタクソな人もいるし,上手な人もいる.
実習担当はイヤだとグチる人も,仕事と同じくらい情熱を注ぐ人もいる.

君らがゆとり世代とか最近の若者って言葉でひとくくりにされて,
価値観や行動原理を薄っぺらく分析されたら,ムカつくでしょ.それと同じね.
実習を担当している人に期待し過ぎたり,必要以上には不信に思わないでくれ.

ボクらは実習生だった頃が必ずあるから,君らの不安は体験として知っている.
他の道に進んだ友達と違って,試験と課題と自分に向き合う試練ばっかりだね.
でもね,きれいごとじゃなくて,ほとんどは長い目でみればムダにならないよ.


自分と向き合う経験の厳しさに共感できているからこそ無償で,
うまく言葉にできないまま応援しているんだよ.
心の中では,ガンバレって言っている,聞こえるかい,ガンバレーー!ってね.

最後にもうひとつ











この本はね,純粋に君たちのために,
多くの先輩たちが気持ちと能力を合わせて創ったんだよ.
みんな,心から応援している.


医学書院で立ち読み




2014/04/25

通所介護における集団体操と作業療法

さて,転倒予防体操を始めましょう.その前に,いつもの話です.
ボクは週に一度だけ体操の担当をしていますが,
これから伝えることは毎日の体操に関係することです.

まずはじめに伝えることは,
15分の体操だけでは生活は変わらない,ということです.


15分がんばったとしても,1日には残り23時間45分あります.
その時間に身体を使わなければ,体操の効果はありません.

体操は主体的に参加する活動とセットです.
午後にみなさんが参加している活動がその役割を担っています.

ね,職員さんたち,でしょ?・・・ほらね.
今からやる体操は,手工芸や園芸や絵画と関係してます.
つながりをイメージしながら体操してください.



毛糸に手を伸ばすための,鉢を持って運ぶための体操です.
通所だけではなく,自宅での生活にも関係します.
台所で料理をするための,洗濯物を運ぶための体操です.

趣味や家事が体操と同じような効果があるという考え方です.
必要性を感じた自分の意志が動かす,
手と頭と心が,自分の健康に貢献するのです・・・おそらく.

それだけではありません.
みなさんがADOCでやってみたいと話した,
趣味や家事ができるようになることも大事です.






私たちは転倒しないために,生きているわけではありません.
会いたい人やする必要のある役割ができることを,
大切だと思っています.ADOCの面接の時に,語っていましたよね.

リハビリテーションとは筋力の向上というイメージがあるようですが,
本来は,状態や状況に合わせて適応する,
自分らしく生きる,という意味です.
自分らしい生活,というのはみなさん自身が知っています.



体操だけではなく,やりたいこと,困っていることを,
より安全に,効率的に,なるべく1人でできる方法を一緒に考えましょう.
それも私たち職員全員の支援だと考えてください.

もちろん,活動だけで筋力を維持するのは難しいです.
活動と体操がセットになっていると考えてください.
活動のための体操だということを,いつも意識してください.



午後の活動や自宅での生活を,
イメージしながら体操を始めましょう.
・・・あ,その前にもうひとつ.

みなさんはそれぞれ年齢,性別,体重,骨折の経験,体力,筋力が,
バラバラです.まったく同じという人は,おそらくいません.
ですから,運動する回数や時間は他人とそろえる必要はありません.

ちょうどよい運動量は体調によっても変わることもあります.
自分に合わせた運動量を,自分で判断して決めてください.
ここで測定する血圧や脈も必ず自分で把握してください.



自分の健康に関係する運動,活動は,必要以上に職員へ任せず,
自分でコントロールしてください.
あなたの身体のことです.
あなたの人生と身体は,あなたのものです.



科学的に証明できていない内容もありますが,大きくは間違っていません.
私たちはみなさんが自分で健康をコントロールできるように,
みなさんが選択した活動ができるように支援したいのです
・・・ですよね,職員さん.

あ,体操の時間が過ぎましたね.
もう終わっていいですか?・・・どうやらダメらしいです 笑
健康と体操について考え方を見直すだけでは,十分ではないようです.



さて,体操を始めましょうか.あ,そういえばもう二つ.
「葉っぱビジネス」と「運動学習と意思決定」の話です.
・・・時間がない?・・・そうですか.じゃあ,次の機会にでも.



2014/04/18

ADOCと上肢機能訓練

昔,治療の臨床スペシャリストと運動の学者スペシャリストが講師で,
臨床で起った変化のメカニズムを解説する講習会に参加した.
学者が丁寧に解釈したところ,臨床者の解釈はほとんど全て大幅に修正された.

結果が出てから解釈を後から考えればいい,と納得することはできなかった.

病院で働いている頃,おかしいなと思うことがあった.
病棟で歩けるけど寝ている人を起こして訓練室まで連れてきて,
ベッドで再び寝かせ,訓練が終わると病棟で寝てもらう病院の常識.

退院したらどうにか生活するだろう,と考えることはできなかった.

退院した方に会いにいくと,
通所や入所で全員が同じような関節可動域訓練,歩行訓練,
ホットパック,マッサージの支援を延々と受けていた事実.

何もしないよりはマシだろう,とは言えなかった.

3つの現実は,互いに関係しているように思えた.
いつ,どこで,何ができるようになるという目標と,
目標に個人的な意味が加えられた目的を,
クライエントと共有する必要があると考えるようになった.



「個性的な目標」のために,「特定の期間に効果的な方法」で,
訓練・練習をすると概ね到達目標が実現でき,
その後は「自身で機会と環境をコントロールできる」こと.

すべてそろって1つのセットで,何かひとつ欠けても効果的ではないと考えた.



それで「個性的な目標」を発掘するために面接技術と背景の理論を学んだ.
実践を重ねるうち,より多くの人と共有するために発表を経験するようになった.
でも発表は伝える目的を実現する方法として,効率的でないと思っていた.



ちょうどその頃,tomoriくんからADOC開発の企画について相談があった.
開発を始める時から彼とずっと話し続けてきたことは,
クライエントにとって価値のある生活の再構築が支援の目的になるのは,
おそらく間違った方向ではないということ.



ただし,治療,改善できる可能性がある動作や行為については,
目標を実現させるために必ず介入するべきだということ.
つまり,機能訓練から作業への介入とパラダイムシフトするのではなく,
作業の目的を実現するために機能訓練を提供するという関連づけが重要と考えた.


ADOCは「個性的な目標」を発掘,共有するために存在しており,
「特定の期間に効果的な方法」で目標を実現する治療,練習はカバーできない.

介入後にクライエント「自身が機会と環境をコントロールできる」ためには,
目標を実現する確実な方法が必要だと思っていた.
その後,samuraiOTさんめがねOTさんたちと出会って,確信するようになった.

でも,効率的で効果的な方法は明確に見えなかった.
2年前,tomoriくんがヨーロッパOT学会で発見したのが,竹林 崇さん.










竹林 崇さんの知識と技術よりも彼のビジョンを,
ボクは沖縄のセラピストと共有したい.
クライエント「自身で機会と環境をコントロールできる」ように,
正確な評価に基づいたオーダーメイドの段階付けという手段で治療,練習,支援する.

これが特別ではなく当たり前になる未来イメージを,共有したい.


沖縄臨床作業療法実践研究会



2014/04/06

事例あってこその事例本 2

tomoriくんから報告がありましたが,
おかげさまで事例本が増刷となりました.
執筆協力者と魅力を伝えている多くの方に感謝しています.






samuraiOTさん,tomoriくんと話して一致した意見は,
自分ひとりでは何も成し遂げられなかったということ.
互いの家族にも言われているけど,ボクら一人ひとりは小さい.

ガンコで,我がままで,しかも効率さを大事にするので,
いい加減で気まぐれと言われることもある.
そのくせ,ビジョンは明確だから空回り,遠回りをしてきた.
前に進んでいるようで,一歩も動いていないメリーゴーランドの馬だった.

めがねOTさんともよく話し合うのだけど,
そういう時代があったからこそ互いに引き寄せられ,
貢献し合える関係を築けているのだろうと思う.

もし,臨床,研究,職場や研究会の管理・運営に悩んだ時期がなければ,
学会で名刺交換をしたしても,その後は会釈するぐらいの関係だったと思う.

でも,臨床や管理に一生懸命な性質だから引かれ合ったわけではない.
教育,研究,管理はひとつの手段であって,目的は臨床にあった.
失敗も成功も含めて忘れられない事例のことが,いつも心にあった.
何かもっと自分にできることがあったハズだと,思い続けることが原動力だった.


事例で価値観や行動が変わった.
出会う人と関わり方が変わった.

この体験を共有するために,事例本は存在している.


この本に掲載されてる事例報告を読むほどに,
執筆された方々がどれだけ悩みながら臨床をしてきたのか,よく伝わってくる.
それぞれが選択した言葉と行動の背景にある物語まで見えてくる.

報告した事例は忘れられない人であっただろうし,
掲載に同意してくれた事例も執筆した作業療法士を忘れることはないだろう.

この経験が次に出会う人と向き合った時に,選択する言葉と行動に影響する.
こうして少しずつ自分の中の核は築かれてゆき,
同じ経験をした人だけに伝わる言葉がにじみ出て,互いに感じ取れるようになり,
貢献し合える関係が始まってゆく.


みんな,たったひとりの事例からすべて始まり,すべてが変わってきた.
この体験をできるだけ多くの人と共有して,いっしょに変わってゆきたい.

次に出会う事例のために,一緒に.


2014/04/02

第1回 日本臨床作業療法学会のシンポジウム補足

6才の息子に,バカなことばっかりやってるなと話したら,
「どうしたんだヘイヘイ,ベイビー!機嫌直してくれよ〜
いつものようにキメて,ぶっ飛ばそうぜぇーー」と笑顔で歌いながら,
ボクの顔を往復ビンタしてきた・・・おいおい,ファンキーだな.


先日,日本臨床作業療法学会がおかげさまで無事に誕生しました.
同行した職場の新人くんは竹林さんの講演に一番ぶっ飛ばされた,と
しきりに呟いていました.職場に無理言ってでも連れてきて良かったなぁ.

さて,続々とWebアンケートの結果が届いていますが,
シンポジウムでもっと意見を聴きたかったという内容が多いです.
面白いことは言えません,としか発言していないので補足します.



「『作業を通して健康になる』は共通の核と言えるか?」



言えると思います.
もちろん,作業と健康についての定義は議論の余地がありますし,
それは作業療法士だけの定義と言えるかという疑問や,
共通が理想だが現実としては共通しているは言い難いという懸念もあります.

曖昧さや疑問,懸念については学会長講演および数多くの演者がまとめ,
解決策についてあらゆる立場から提案していました.
その中にはエビデンスを求める試みもありました.

正解を明らかにするというだけではなく,
正しい問いを発見することも学術だと解釈していますので,
共通の核と言えるか?という問いに対しては,言えると答えます.



「作業療法の理想の立ち位置は,医療か作業か?」



作業療法では人−作業−環境のダイナミックな相互影響を理解します.
したがって,医療か作業という問いに対しては一概には答え難いです.
急性期病棟と特養ホームではあまりに人・制度の環境が異なり過ぎるからです.

個人的な意見を問われたなら,
作業の方に寄ります.でも,医療に背を向けてはいません.
医療にしっかり向き合いながら,作業に立っています.

じつは打ち合わせの時にsamuraiOTさんが言ったことで,
「良い言葉だ!このタイトルでブログ記事を一本書けるね,書いてよ」
と彼に促したのに,ここでパクちゃっいます笑.ごめんね.同感なんです.



「OBP(作業を大事にする実践)に,障壁はあるか?」



tomoriくんも書いていましたが,ありますね.
今回,参加者の多くが障壁はあると語っていました.
言いなりが楽なんですが,自分を偽れないのだと共感しました.

作業療法の「核」と「立ち位置」について作業療法士も説明が難しいので,
対象者,家族,チームメイトも理解し難いのだろうと思います.
悪気は全くなくて期待の意味を込めて,作業療法士らしさを求めています.

ギャップが苦しくて,エビデンスさえあれば解決や回避できる,
と考える傾向になりがちです.少なくても,ボクはそうでした.
でもそれは理解という名の信頼があって生きる武器であって,
逆境からすべてをひっくり返す一手ではないように思います.

脱線します.

エビデンスが乏しいからと言って,それは必要ないと開き直るのは問題です.
セラピストの経験に基づいた感覚と,クライエントの笑顔で十分というなら,
プロではありません.もちろん,それらを否定しているわけではありません.

話を戻します.

まずはイイね!と思える事例を通して一緒にやろうかと感じてもらい,
介入と結果はチームの協力がなければ実現しなかったことを言葉で伝え,
継続するために経験や直感ではなくエビデンスを活用する,という順番が理想です.



学術的であるか?閉鎖的ではないか?と,
1年前から理事一同は危惧していました.
その可能性を認めて可能な限り対策した上で,それよりも大事にしたかったこと.






まず,やってみる




やってみれば,わかる言葉がある




わかると,イメージできる未来がある




見えたら,怖くても迷いなくスタートできる




共に創りたい未来に向かって,





スタートできる


2014/03/24

第2回 日本臨床作業療法学会 in 沖縄



この学会の必要性を考えました.
目的と目標をはっきりさせました.
最適な手段が見えました.






基本的に,演題応募者だけが参加者です.






いくつかの合宿研修会でありながら,ひとつの学術大会でもあります.






























2015年2月6日-8日


まったく新しいスタイルに、再び挑戦.