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2014/05/08

臨床実習生の君たちへ

学校では覚えろと言われて,臨床では考えろと言われるよね.
まずやってごらん,とよく言われるでしょ.
行動を観察しなければ,課題と強みがわからないからだよ.

学校で習ってませんって答えると,あきれた顔をされるでしょ.
習ったかどうかなんて,どうでもいいんだよ.
まずやってみること.やってくれたら修正できるよ.

サッカーとかギター,車の運転,料理と同じことね.
ミスをしない完璧なやり方を頭で覚えるまで実践しません,
なんて宣誓する後輩や新人バイトがいたら,ローキックしたいでしょ.









それから,ホウレンソウをちゃんとしろって言われるよね.
野菜のことじゃないんだよ,報告・連絡・相談のこと.
何を,どのように,どれくらいの頻度でやればいいの,と迷うでしょ.

何かをする前に必ず意見を伺いに来いと言われたり,
イチイチ細かいこと聞きにくるなとか言われるよね.
マニュアルをくれって思うでしょ・・・ないんだよ.

空気とか距離感なんだよね.伝えにくい感覚なんだ.
場の雰囲気とか好みもあって,ファッションに似てるね.
社会にもおかしな大人はいるから,大目にみるよ.
その態度と発言にイラってする人がいるかもよ,くらいは伝えるさ.









ボクらは君らの良いことは伝えやすいけど,
修正した方がイイかもしれないことって伝えにくいんだよ.
人を傷つけるかもしれない言葉を口にするのって,ストレスなんだよねぇ.

君らに率直な助言をする人がいたら,本気で応援してくれる人だよ.
たまに空気が読めないだけの人もいるけど,少ないよ.
助言したとしても全部は伝えきれないから,行間から推し量って.


・・・ボクらだって色々と悩ましいんだ.
決定権と手当はないのに管理業務っぽいデスクワートと会議はあるし,
家に帰れば子供に早くご飯を食べろ,宿題やれと7回は言わなきゃいけない.

だからといって,ボクらの状況と心情を察してくれ,とは言わない.
でもね,心ここにあらずという顔をしている日があったら,
誰かの部下であり,親でもあると想像してみて.ただの人なんだよ.




臨床の教育を担当するボクらは,教育学を知らない.
個人差が大きくて,教え育てることがヘタクソな人もいるし,上手な人もいる.
実習担当はイヤだとグチる人も,仕事と同じくらい情熱を注ぐ人もいる.

君らがゆとり世代とか最近の若者って言葉でひとくくりにされて,
価値観や行動原理を薄っぺらく分析されたら,ムカつくでしょ.それと同じね.
実習を担当している人に期待し過ぎたり,必要以上には不信に思わないでくれ.

ボクらは実習生だった頃が必ずあるから,君らの不安は体験として知っている.
他の道に進んだ友達と違って,試験と課題と自分に向き合う試練ばっかりだね.
でもね,きれいごとじゃなくて,ほとんどは長い目でみればムダにならないよ.


自分と向き合う経験の厳しさに共感できているからこそ無償で,
うまく言葉にできないまま応援しているんだよ.
心の中では,ガンバレって言っている,聞こえるかい,ガンバレーー!ってね.

最後にもうひとつ











この本はね,純粋に君たちのために,
多くの先輩たちが気持ちと能力を合わせて創ったんだよ.
みんな,心から応援している.


医学書院で立ち読み




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