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2019/09/23

好きな人が他の人を好きになったら


好きな人が他の人を好きなったら,どうしたらいいんでしょうか?
相談を受けたわけではないけど,勝手に考えてみる.
定義をはっきりさせよう.好きな人は恋人である.片想いではない.
結論から述べる.あきらめなさい.
相談を受けたんだった.正確には受けたつもりだけど.
感情はコントロールできないんだよ.
たとえば,ビールが好きな人,サッカーでも映画鑑賞でも散歩でもいいんだけど,
嫌いになれと言っても無理でしょ.
ビールの代わりにタピオカミルクティーを好きにさせることはできない.
理屈で論破することもできない.
両手が使えるのに足でボールを蹴って運ぶなんて効率が悪すぎる,やめとけ.
両手と足が使えるアメリカンフットボールを好きになれ,やりたい放題だよ.
ヨーロッパではフットボールと言えばサッカーだけど,
アメリカではアメリカンフットボールだからな.
やっぱりビールにしよう.腎臓と脳に与える影響を詳しく説明する.
たとえ話をやめよう.酒がまずくなる.
君が好きな人を嫌いになることはできない.
君が嫌いな人を好きになることもできない.
自分でコントロールできないのだから,
他人がどうにかできるわけがない.君を好きにさせることはできない.
君にできることは2つもある.
ドアを開いて君が部屋を去るか,
ドアを開いて相手を部屋から出すか.
告白されて付き合って,フラれた僕が言うのだから間違いない.
しかも三度だよ,三人ね.久美子と……そうだね,名前はいらない.
信頼性を証明するには百人のデータが欲しいところだけど,
心が折れてしまう.あと九十七回ってね,さすがに僕でも.
さっさと終わらせよう.
待てよ.告白されて,フラれるということは僕に何らかの問題がある,
という仮説に対して反証するべきではないか.名誉を守るためにも.
……やめよう.確かめるのは意味がない.
まず,ストーカーはエネルギー対効果が低い.
愛してる愛してる愛してると百回言えば百一回目に結ばれる,わけがない.
六回目から,こわい.
次に,もったいないという考えは捨てよう.
費やした時間,お金,経験は惜しいよ.サンクコストの呪縛ね.
でも君が四十代なら残りの四十年を,三十代なら五十年,二十代なら六十年,
そっちに投資した方がいい.賭けた方が楽しい.
好きな人を仕事に置き換えてみよう.
……ちょっと違った.いや,悪くないな.別で書こう.
君が好きになった人の世界に君はいない.
君の世界には君がいる.だからビールを飲んで,映画を観て,散歩しよう.
コントロールしない,泣きたい時は泣く.
ドアを開いて,外に出よう.理由と目的はいらない.
好きなタイミングでスローインしよう.
こういった相談を受けたことはない.

2019/09/16

作業療法の話をしよう

ブログを始めたのは12年前.twitterやFacebookはなかった.
ネット環境は整っていて,ブログを書いている人は少なかった.
作業療法の世界は手技を中心としたアプローチが圧巻していた.
今でいうOBP,作業に焦点を当てた実践はマイノリティだった.
学会で発表してもオタクとして見られていた気がする.
悔しくなかったけど,満足していなかった.

弱い立場の少数派はネットで叫んでいて,反骨精神は理解できた.
ただ,あまりにも偏った視点だと,読んでいて気恥ずかしかった.
作業は素晴らしい,作業療法は最高だ,と言われても,
効果を証明できない手技アプローチと変わらないじゃないか.
「認めて欲しい」が興奮すると美しくない.
不安が伝播して集団化すると暴力性は正当化されて,みにくい.

技術と技術の対立,技術と理論の対立,理論と理論の対立.
耐えきれず,しかたなくブログを書くことにした.
手段と目的を混同しない.曖昧なことから逃げない.ポジティブ思考になる.
誰かを攻撃するたびに自分が傷つくなんてバカだろ,
自分には前向きな視点と行動力があるってことを思い出そうぜ,
と伝えたかった.

記事を書いているうちに気づいた.
誰かのために書いているつもりでも,自分のために表現していた.
自分のために書いているようで,誰かのために言葉を探していた.
書くこと,読まれることを通して,
誰かと自分を応援したかったのかもしれない.
自分もそうやって支えられた.

そうか,そのために書いてたのか.
対立を根絶することが目的ではなく,
自分と誰かの大切なことを守りたかった.
作業療法士という仕事は不確かなことも多いけど,
より確実な選択肢を多くの人と創り上げたいよ.
作業療法士のためではなく,作業療法が必要な人のために.

京極真さんが沖縄で講演してくれる.
探し続けていたものが,きっと見つかる.
みんなで作業療法の話をしよう.











2019/07/05

12人のクライエントが教えてくれる作業療法をする上で大切なこと


次の文章に惹かれた.

「しかしながら,相対的に価値があるかどうかではなく,絶対的価値観の中で,自己の作業遂行に対する満足度を高めていくことができれば,環境との相互交流の中で生じる揺らぎや葛藤に対して,それ自体をなくすことができなくても,うまく折り合いをつけながら生活を送ることは可能だと思います」
(循環を支援する.p.14

私小説ではなく専門書の場合,本来は執筆者の人格が見えにくい.
あの人だから実践できた,思考できたと解釈される可能性はいくらか抑えられる.
本書は根底に確立された理論や学問,科学の存在があった.
読者は巻末の参考書をきっと読みたくなる.したがって間違いなく専門書である.

が,執筆者がみえた.真摯に歩み続けた臨床家の姿が.
理想的な結果に結びついた支援の裏に,思い込み,知識や技術の不足が招いた苦い経験をみた.
クライエント,家族,職員,さらには自分の意思,価値観,能力,役割を想定し,仮説を立て,
言葉と行動を選び,相手の反応から推察をさらに深める.

その表現を,その構成を選択した背景に,どれほどの迷い,葛藤,後悔があったのか.
重圧と無力感にいくら襲われたのか.
彼は浮き沈みを繰り返す過程で手に入れたものを,私たちが受け取りやすい形で分けてくれた.
前を向こうとする作業療法士が,揺らぎと折り合いをつけながら生きることを願って.

正解なんてない,天才なんていない,完璧な環境なんてありえない.
だからこそ,自分と誰かのことをできる限り想像し,共有し,尊重する.
私たちは作業療法という作業を通して,作業療法士になりつつある.
本日,20197月5日,発売開始.