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2017/09/24

第51回日本OT学会旅行記

久しぶりに会う方々が、何の病気ですかと遠慮がちに声をくれた。最強の食事を始めてからMCTオイル、良質の野菜と脂質をできるだけ多く摂り入れ、加工食品や人工甘味料をできるだけ身体に入れない。失った17kgの体重よりも、身体と頭のパフォーマンスを保つ意識を手に入れたことに価値がある。

ルールはシンプルで、必要なことを求め、必要の無いことを拒む。

習慣を変化させるために必要なことは、自分の欲望を抑える強い自制心ではなく、決まった時間に決まった小さい行動を起こすこと。習慣が変われば意識が変わり、意識が変われば行動が強化される。


51回日本作業療法学会の前に、東京工科大へ寄った。佐賀の冨永美紀さんが学生を対象に特別講義を開くと聴いて、友利くんにお願いして受講させてもらった。彼女が震える声で淡々と語るエピソードに潜む、覚悟と誇りを学生が感じ取るのは、今はまだ少し難しいかもしれない。認知症に悩む人と家族と職員を抱きしめるように関わる彼女のスタイルは、初めから完成していたものではなかった。戸惑い、迷い、疑い、絶望と確信、自信、感動を行ったり来たりする中で育まれつつあった。彼女の勇気ある行動と綿密に練られた支援戦略は、これから先も精度を高めていくに違いない。

最低の場所から見上げ、最高の場所から振り返るとわかることがある。








自分や患者さん、家族、職員の潜在的な能力と限界を繰り返し確認する。この経験を重ねた者しか選択できない言葉と行動がある。学生たちもいつか辿り着けと願う友利くん、澤田さんの背中を追って会場へ向かった。

九月の東京は沖縄と変わりない気温で、高層ビル群とうんざりするほどの人混みを避ければ地元にいる感覚だった。日本各地の作業療法士と再会して挨拶し、しばらく語り合った。現実に適応しながら理想を追い求めているうちに、必然と偶然が重なり巡り合ったのだと思い出した。ボクらは不完全であることを自覚している。だからこそクライエントに必要な支援ができる自分へ近づくために、日々少しずつ行動を変化させている。変化は行動しない選択を伴う時がある。望む何かを得るためには、何かを失うことも覚悟する。何かを変えることができる人は、失うことを怖れない。


行動を起こさない雄弁な人よりも、不安定でも行動する人の方が作業療法士として魅力的で可能性がある。







今回は日本作業療法学会に参加するためではなく、日本臨床作業療法学会(COT)の理事会に出席することが旅の目的だった。理事として果たすべき使命、達成するための手段、予測な可能なリスクと対策について早朝から延々と話し合った。それぞれの理事メンバーは業界、組織、団体を横断して大事にしている人間関係があるため、変化を起こすために投じた一石が与える影響を予測できる。慎重に、それでも恐れることなく、我々は何のために存在しているのだと何度も問いを立てる。まだ解決するべき課題はあるけれど、方向性は見定まった。

「ボクらにできること、やるべきこと、やりたいことをボクらで大切にしよう」








齋藤さんと竹林さんの優しく強い言葉を抱きながら、駅へと続く階段を駆け登った。まったくの無条件で自分を支え、成長させてくれる仲間がいる。ボクが求めていたことは、後になって見つけた。彼らと出会うために必要な過程を歩んできたのだろうと、今になってようやく理解できる。秘かに温めてきた夢があった。その実現に向けて、昨日から歩き始めた。この道を進めば何を得るのかと、胸の中で期待と不安がぐるぐる踊る。ただいま、2kg太ったよ。