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2010/10/24

ADLの背景を共有

回復期リハ病棟ではFIMを使用していた。

看護師と介護士が入浴介助で成果を出したと報告した。
重度の片麻痺が残存する方に対して、
入浴の時に非麻痺で体幹の前面と片方の下腿を洗えた、という。

必要以上に介助をせずに、自分でできることを支援したことで
ADLの能力が高まったと感じているようだった。
それは仕事に対する自信を育む大切な体験だったと思う。

でも、伝えなければいけなかった。

その方は退院後は通所介護で入浴サービスを利用する予定だった。
身体機能の大きな回復は期待できず、
これから先に練習を重ねて入浴の介助量が軽減していっても、
背中を洗うことや衣類を持って移動することは難しいことが予測できた。

可能性をあきらめない、という類いの話は嫌いではない。
だが、能力の限界ギリギリの方法を生活の中に取り組むのは、
安全性、安楽性、効率性を考慮すると推し薦めることはできないし、
病院ではなく自宅での現実の生活に定着するとも思えなかった。

回復期リハ病棟の構造や備品といった物理的環境や、
介護する人の数や技術といった人的環境は、
自宅や通所介護のそれらより優れているかもしれないし、
劣っているかもしれない。良いか悪いかではなく、事実としてある。

回復期リハ病棟の浴室で看護師、介護士が入浴介助をして、
身体の一部を自分で洗えるようになってFIMの点数が向上したことが、
患者さんの退院後の生活に影響を与えるものでなければ、何の意味があるのか。
努力を否定する気はないが、残念ながら何の意味もなさない。

ここで重要なことは、情報の質と量をシェアできていないことだった。
ADL向上は大切なことだが、それはあくまでも手段であって、
それ自体が目的ではない。
(入浴が趣味の人の場合は、カテゴリの話になるので今回は話題にしない)

入浴に対する価値観はどれほどか、家族は介助することを負担と思っているのか、
という情報も慎重に取り扱う必要がある場合もある。
これらの情報を吟味した上で、入浴介助の方法を検討しなければいけない、
と思っていた。



「すごいじゃん、いいねえ。でもねー、この人さ、
帰ったらデイサービスで入浴するさね。なんかね、奥さんが介助するのに不安だって。
でもね、着替えは奥さんができるようになりたいんだって。
だからさ、入浴はぱぱぱって介助しちゃってもいいので、着替えは見守りでお願いです。
たぶん、退院する頃には着替えは自立までいくと思う。奥さんも望んでいるみたい。
もちろんボクも入浴と着替えに入るので、その時に具体的な介助法を伝えますね」

担当看護師には伝えた情報ではあったのだが、
連携が不十分だと担当者を責めても何も得られるものはない。
もっとも大切なことは、その患者さんが退院した後の入浴状況をリサーチして、
入浴を介助していた看護師、介護士にフィードバックすることだと思っていた。

「ほら、あの時にさ、手伝えば早く済むのに、着替えを見守りにしていたさね。
そのおかげで今は奥さんが少し手伝うだけで着替えができるみたい。
すごい助かっているんだって。なんかさ、うれしいよねえ。
入浴はやっぱりデイサービスを使っているみたいね。ほぼ全介助らしいけど、
まあ、本人はそんなに不満ではないらしいよ」

一連の経過を含めてワンセットで伝えることが大切だったと思う。
なぜなら、この経験によって思考パターンに影響を及ぼすはずだと思っていた。
そのADLはどこで、だれと、どのようにしたいと思っているのか?

自分が介入したことが数値化して表れる成果は、仕事の自信と誇りになる。
FIMだけではなくて患者満足度という数値もあった方が、
もっと仕事が楽しくなるんじゃないかなと思う。

作業選択意思決定支援ソフト(ADOC)

伝えたいことが複数あって、文章の焦点が絞れていない。
こりゃあ、書き直しだ。でも、これもこのまま残しておこう。

2 件のコメント:

  1. FIMは目標にしてはいけない・・・
    クライエント個々の自己実現の結果ついてくるもの・・・
    しかも二者の点数を並べて、相対的に優劣をつけられるものではない・・・今年度から回復期病棟では質の評価が始まりました。しかしそこで意味していた”質”とは、訓練量と重症度の改善率でした。僕達OTが大切に温めていた”質”の概念は、本来のそれとは大きく形を変えて使用されてしまうことになってしまいました・・・・現場から本質を発信し続けます・・・ずっと

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  2. 看護,介護,医師,経理担当者みんな,自分の知識と経験に基づいた揺るぎない価値観があると思うんです.相手を否定せずに,ボクらが考えていることを伝えきれたらいいなと思います.訓練量,自宅復帰率,FIM向上率は大切かもしれません.でも,一番というわけではありません.ボクらの使命は,それぞれの職員が大切にしていることに,意味づけをすることかもしれません.そうすれば自然に,ほんとうに気がついて欲しい質を自ら見つけ出していくだろうと思います.その日のために,毎日小さい仕事を丁寧に継続的に.

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