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2013/05/16

通所介護とOT


このブログに辿り着くまでの検索ワードで一番多いのは,
理学療法,理学療法士だった.
じつはボク,琉球の作業療法士です.

平成23年度厚生労働省老人保健事業促進費等補助による,
「デイサービスにおけるサービス提供実態に関する調査研究事業」の
報告書が三菱UFJリサーチ&コンサルティングによって公開されている.

目的は通所介護が担うべき機能・役割の方向性やあり方の検討で,
10,000事業所へアンケートを送り,
回答のあった1,576件が対象となっている.


抜粋1

理学療法士,作業療法士の有無別で機能訓練の達成目標は,
「高齢者が楽しく過ごすことができる」がどちらも最も多く,
PT,OTがいる場合は31%,いない場合は42.7%

同じく次いで,「筋トレを行い身体機能の維持・向上を図る」
PT,OTがいる場合は26.2%,いない場合は8.4%,
「自宅で再び生活行為ができる」は,いる場合5.7%,いない場合11.9%だった.


感想1

いる,いないを区別しているのは,機能訓練指導員はPT,OTの必要がなく,
むしろ看護職員の方が多いから.(平成21年時点で7割が看護職員の兼任だった)
区別をして調査したのは,PT,OTは必要か判断しようという意図だと思う.

機能訓練の目的が「楽しく過ごす」,「生活行為ができる」となる割合が高いのは,
喜ぶべきか迷うところ.「楽しく過ごす」は便利な言葉として乱用され過ぎている.
「楽しさ」について主観的評価を記録できて,達成できているなら,問題ない.

テレビを観て腹をかかえて笑ったから今日は「楽しい」と,
あきらめていた園芸が再びできるようになった日々が「楽しい」は,
同じ「楽しく過ごす」に分類されているんじゃないかと,心配している.

「自宅で再び生活行為ができる」はPT,OTがいる場合5.7%に,
その結果よりも,
やっぱりなぁと思ってしまうことが悲しい.



抜粋2

機能訓練実施にあたり工夫していることは,
「利用者本人に具体的に聞いて目標を立てている」がどちらも一番多く,
PT,OTがいる場合は81%,いない場合は56.5%

「機能訓練指導員と介護職員で個別機能訓練計画を立てている」が,
PT,OTがいる場合は54.8%,いない場合は37%


感想2

「具体的に聞いて目標を立てている」について.
聞いているかどうかよりも,どんなことを聞いたのかに注目したい.
困っていることよりも,できるようになりたいことを聞いたか確認してみたい.

腰がイタい,と答えたから目標は腰部の痛み軽減とするか,
腰部の痛みが生じないように生活動作や趣味ができるとするかは,かなり違う.
目標が変わればプランが変わる.注目するべき違いだと思う.

腰がイタいって訴えているんだから,別に細かいこと言うなよ,という専門職を,
説得することが難しい.伝えるなら,目標設定のプロセスを伝えること.
それがカンファレンスや計画書の協同作成になると思う.


抜粋3

機能訓練のプログラム内容は
「集団的に行われるレクや創作活動」が
PT,OTがいる場合は83.3%,いない場合は86.6%

「日常生活動作の機能訓練に重点をおいた介助を実施」が,
PT,OTがいる場合は69%,いない場合は68.7%

「個別機能訓練計画書を作成し,体操,マッサージ等を実施」が,
PT,OTがいる場合は85.7%,いない場合は47.7%

個別機能訓練の内容は,

歩行,平行棒が21.8%,
機器,マシーンを使用したリハビリが14.6%,
体操,運動,ストレッチが11.9%,
上下肢,手指の機能訓練が10.1%,
マッサージ,徒手療法,温熱療法が6.6%,
その他4%以下が筋トレなど11種類で,

日常生活動作訓練,作業療法という種類が・・・ 2.5%


感想3

集団レク,創作活動,生活介助方法の工夫は差がないのに,
体操,マッサージ等を実施ではPT,OTの有無でずいぶん差が出た.
統計的に有為な差かどうかはわからないけど,印象として大きな差.

これはきっと,PT,OTがいなければ活動,
いればマッサージ等で加算請求の意味だろうと思う.
ボクは2年前,通所介護でマッサージ,ホットパック専門家の役割を依頼され続けた.

リハビリの人は,マッサージあるいは平行棒歩行,機械,ホットパックが仕事.
これが常識でしょ,という名の文化,歴史,習慣の中でボクら作業療法士は働く.
OTらしい仕事がしたいと言っても,97.5%の人はイイねと反応しない.



だからボクにはADOCが必要だったし,これからも必要.


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