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2011/06/05

目標をつなぐ Connecting the target

昨日、ADOCを貸し出していたリハ病院のスタッフから、
使用感想などを頂いた。
大浜病院は沖縄の活動分析研究会を10年以上リードしてきた病院で、
その実績と伝統は沖縄のOTなら誰でも知っている。
待ち合わせは、あえて近隣にある別法人の急性期病院にした。
そして、急性期病院のベテランOTと新人OTに同席してもらった。

(回復期OT)
「話を聴いているつもりだったけど、新たに発見できたことがあった。
それは財産管理、政治活動、家族との交流などだった」
「漠然とした更衣の練習をしていた人が、
更衣は家族にやってもらうから優先順位が低いことがわかった」
「リハ病棟で担当2日目の患者さんは、
子供や家族に迷惑をかけないかと不安が強いことがわかった」


「認知症のためか、入院の必要性を感じていない患者さんには
やりたいことを確認できなかった。高次脳機能障害がある方も同じたった」
(それはクライエントが誰なのかを考えてもいいかな)
「iPadの文字入力が慣れないと難しい、という要望が多かった」
(ワイヤレスキーボードは必須アイテムかな)

「患者さんが集中できない等の理由で、途中保存機能はよく使った」

「OT課長がiPadとADOCの購入伺い書を作成すると言ってくれた」








なるほど。
ところで、回復期リハ病棟のOTとして、
急性期の病院から送られてくる申し送り書に要望することは?

「疾患、症状、動作の分析と経過の情報だけだと、
患者さんの人柄がわかりにくいために初回面接でとても緊張する」



なるほど。
それらの情報についてはリハ病棟で改めて初期評価として確認するので、
むしろ始める前に確認したいことは、どんな生活を送ってきた人なのか、
という情報が欲しいのかな。


たとえば、法人が同じ病院なら急性期、回復期の患者さんの情報を
電子カルテなどで閲覧することは可能だろうか。

(急性期OT)
「急性期から回復期の経過を電子カルテで確認することはできる。
しかし法人内に限り、閲覧することしかできない」



「急性期から回復期リハ病棟に転院してまでやりたいことがあると、
回復期の病院に伝えたいが、申し送り書の書式上むずかしいこともある」

「COPMや対話の中で発見した希望を、

回復期リハで実現できたかは確認できず、それが最も知りたい」



急性期において、作業に関するやりたいことを引き出すには、

セラピストの視点と技術が影響すると思う。
患者さんの混乱の程度や病状によると思うが、
セラピストの影響もあるとボクは経験から仮説を立てている。






法人を超えた急性期、回復期の連携、
しかも、作業に焦点を当てた協議や双方向性の情報提供ができれば、
急性期のOTは意味と目的のある作業に目標を置くことに自信を持てるし、
回復期のOTは急性期OTから作業に焦点を当てた情報を提供してもらえる。


具体的には、
ADOCのPDF資料を急性期から回復期への申し送り文書に添付する、
回復期は急性期へ退院前のADOC再評価を申し送る。
個人情報のリスクも時間的コストも費やすが、それだけの価値はあると思う。



ボクは回復期リハで勤めている時に急性期OTからの情報提供書、

通所リハと通所介護で勤めている時に回復期OTからの情報提供書を読んで、
OTというよりはPT助手だな、と思った経験があまりに多すぎた。


だから、いま話しているあなた達のことは信頼できるが、
やはりそれは個人の信念、視点、技術に依存しているのではないかという、
疑念を完全に取り除くことができない。


あなた達と同じように考えているけど、
いろんな事情でできない人もいるかもしれない。
そういう人たちのために、もちろん自分のためにも、
作業に焦点を当てた情報共有の仕組みを考えたいね。




急性期、回復期を経て、生活期を迎えた方と直面するボクのためにも、
作業に焦点を当てた要望を伝えることができる文化を作っていきたい。


発症から数年以上が経過した運動麻痺や認知症状を治すことが、
OTの本来の目的ではないと生活期になって伝えても届かないことがある。
あなた達の言葉や態度が、
ボクの今目の前にいるクライエントの価値観に影響を与えると思っている








共に作業に焦点を当てた地域連携の仕組みを考えよう、作ろう。
急性期、回復期、生活期のOTそしてクライエントが望んでいること、
だと思う。


それは、作業に焦点を当てた目標をつなぐこと。

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