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2011/06/01

機能訓練は作業か?2 Or occupational therapy functional training?2

よく誤解されるので、書いておく。
機能訓練に抵抗があるわけではない。
それしか選択しないことに、強い抵抗がある。

その時、ボクは26歳で彼は30歳だった。
脳動脈瘤の破裂により、運動麻痺が出現した。
急性期病院ではベッドの上で一日を過ごし、
回復期リハ病棟のあるボクの職場に転院してきた。

初日にCOPMを聴取し、目標を明確にした。
農業試験場に勤める彼は、豚の世話をすること、
1人で生活すること、通勤は車が必要であることを話した。

どんな自宅で、どんな車で、どんな仕事内容で、
仕事に関してはどこまで職場の協力が可能であるか確認した。
どこまで妥協できるか、何は妥協できないか、
それはなぜか確認した上で、作業療法の目標と方法を
一緒に考えた。

その上で、病棟廊下歩行訓練から始めた。
1ヶ月ぶりに歩いたと話す彼は、10m歩いて廊下に嘔吐した。
ベッドに運び、すぐに脳外科の医師にリスクを再確認したところ、
CTの結果を見直しても再発の危険は少ないから気にするな、と
言ったので、危険と判断する状態を細かく確認した。

その後でボクが彼に伝えたのは、1時間後に歩行訓練を再開する。
その時に再び嘔吐した場合は、さらに1時間くらい空けて再開すること。
今はやればやるだけ変化が期待できるので、
無理をしてもやるべきだと伝えた。
そして1ヶ月後の変化を確認して、
継続するか、終了するか判断すると伝えた。

1時間後、彼は再び廊下で嘔吐したが、さらに1時間後に再開した。
成果が期待できるという根拠がある限り、機能訓練はするべき。

ここで主張したいことは、2つだけ。
1つめは、機能訓練は何のためにという目的と、
どこで何をしている状態になるという目標が必要不可欠。
2つめは、機能訓練を選択して開始する時には、
客観的根拠に基づいて終了する時を始めに決めておくこと。

同じ情報量と同じ情報の質を共有することを前提に、
フェアな関係が成り立ち、表面的ではない協業が可能になると思う。

そうして初めて、
機能訓練という形態ではなく、意味が有る、無いではなくて、
どんな意味があるのかという議論ができるんじゃないかと思う。

機能訓練は作業か?
ただの機能訓練かもしれないし、
個人的に特別な意味のある作業かもしれない。

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